約260社1000商品に伴走 オリエン策定や制作の知見も蓄積
野村総合研究所が2007年から提供する「Insight Signal(インサイトシグナル)」の調査は年7回。1調査は約3カ月間であるため、ほぼ毎日調査が行われている。同一の対象者を継続して確保して各メディアへの接触、商品の購入実態や意向、クリエイティブの評価などを調査し、出稿前後の行動変化やクロスメディアでの広告効果を分析する。
図1.Insight Signalの調査概要と効果測定例
データ提供からコンサルティングまで幅広いサービスを提供する同社だが、これまでの調査研究と蓄積されたデータで、そのソリューションがさらなる発展を遂げている。
生活者の意識や行動を分析できるSaaS型サービス「Insight Parette(インサイトパレット)」は、インサイトシグナルの膨大な調査データから生まれた。例えば「趣味がウインタースポーツ」という人の基本属性や消費の価値観、実際に購入している商品、メディア行動などを可視化。毎月更新される8600 万通り以上のセグメントでデータを抽出することができ、オプションとして出稿時のリーチや効果をクロスメディアで予測するシミュレーションも行える。梶原氏は「多様化する業務で十分に調査の時間が取れないなかで、データドリブンな仮説を立て、施策を考える材料にできる」と話す。
図2.Insight Paletteの利用イメージ(ウィンタースポーツ利用者の特徴)
さらに2023年1月からは、独自のブランド評価指標「NRI BRAND INDEX」を測定するための大規模調査を開始した。特徴は企業ブランドだけでなく、商品ブランドに対応した調査であること。過去から蓄積されたブランド力を示す「Baseスコア」、今後のブランド力の方向性を推測する「Leadスコア」、SNS投稿数をもとに直近のブランド力の変動を示す「Trendスコア」の3つの指標、およびそれらから合成する総合指標「NBI」で構成されており、競合を含めたブランドの強み・弱みをレーダーチャートで可視化する。また、企業ブランドが商品ブランドにどの程度影響を与えているかも数値化される。
機能訴求をメインにコミュニケーションすべきなのか。あるいはファンコミュニティの強化を図るべきなのか。同企業・同カテゴリの商品でも、ブランドによって生活者の評価は異なる。競合ブランドの状況を踏まえて、どのポジションを築いていくのか、企業ブランドをどのように活用していくのかという次の具体的な一手の検討をデータドリブンで行うためのソリューションである。
図3.NRI BRAND INDEXのアウトプットの一例(ビールカテゴリー)
同社ではこれまで、BtoC企業を中心に約260 社 、1000 商品を超えるマーケティング支援を行ってきた。近年増えているのが、マーケティングのプロセスすべてに伴走してほしいというニーズ。オリエン資料の作成やクリエイティブ制作の伴走をすることもあり、各業界・業種の知見が蓄積されてきているという。「マーケティング部門は他部門から異動してくる人も多く、ブランドの真の課題を理解できているか不安、ノウハウもたまりにくいという声も聞きます。まずはディスカッションのパートナーとして、気軽にお声がけいただけたら」と梶原氏は話した。
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