パーパスの実現につながる、「江崎グリコらしい」DX

デジタル強化を機に顧客起点の重要性を再認識

━━デジタルの領域に足を踏み入れたのはいつですか。

入社から11年ほど経ち、住宅用のスプレー洗剤の商品開発・ブランド担当になりました。ある日、会社の決定で新製品の消臭剤ブランドに広告予算を費やすことになり、私の担当するハウスダスト対策商品の広告予算が削減されました。そこで、別の手段を考え、デジタル施策を強化しました。まずブランドサイトを立ち上げて、商品の特徴とハウスダスト対策を徹底的に伝えました。

さらに、花粉シーズンといったシーンごとに暮らし方・住まい方を啓発するため、消費者との座談会を開き、その模様をターゲットの消費者がよく見るSNSにアップしました。そこでは消費者同士のコミュニティも形成されました。ターゲットに届く(伝わる)媒体を選定し、モノ(商品)ではなく、コト(アレルギー対策)を口コミで広げる方法が良いと考えた施策でした。

ネットの活用により、集まるデータも変化しました。分析をしっかり行いPDCAを回す面白さに気づいたのもこの頃かもしれません。「気づく」ことって重要ですね。

当時おつき合いのあった病院の先生から感謝の手紙が届くという嬉しい出来事もありました。「薬だけで解決するのではなく、商品を使ったアレルギー対策の提案を行ったところ、住まい・暮らしの改善ができた。アレルギーを持つお子さまのお母さまから『ありがとう』とお礼をいただいた」と綴られていました。

予算削減に伴い、新たな策として始めた取り組みが、「お客さま起点」の重要性、そしてデジタルで人同士がつながる可能性に気づく大きな経験になりました。

━━日用品の会社を出て転職した理由は?

その頃、先端技術戦略室で無人接客ツール・デジタルシェルフ・アプリの開発などに携わっていました。花王でDXに取り組み続けたい気持ちもありましたが、デジタルを活用してもっと生活者の暮らし・健康、特に「食×デジタル」によって直接貢献できる会社で新たなチャレンジをしたいと思い始めました。

そんなとき、江崎グリコがDX推進を担う人材を探していると知りました。「『おいしさと健康』を掲げていながら、お客さまの持つグリコのイメージは菓子メーカーのまま。デジタルを活用して、健康ソリューションや未病分野に取り組みたい」と聞き、徹底した「お客さま起点」の姿勢に共感して入社を決めました。

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荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)
荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

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