NHKが朝ドラ出演の俳優を起用し、朝ドラ仕立ての防災ムービーを公開

NHKは、6月に連続テレビ小説(朝ドラ)風のドラマ仕立ての防災動画 “連続テレビ防災「ばんぜん」”を公式サイトと公式YouTubeで公開した。

イメージ 連続テレビ防災「ばんぜん」cmカット

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NHKは、2023年に防災ムービー「日常は、ひょう変する。」を公開しており、今回はその続編となるショートムービーだ。制作の背景について、昨年の企画、演出も担当したプランナー 村田俊平氏は次のように話す。
「2024年の元日に起きた能登半島地震では建物の倒壊や津波によって多くの方が亡くなられ、避難所での生活や長期の断水によるトイレ環境の厳しさなどもクローズアップされました。災害はいつ起こるかわからないこと、そして平時からの備えの大切さを改めて思い知らされ、過去の災害から学ぶ3つの重要な防災ポイント(避難所と避難場所の違い・公衆電話の使い方・携帯トイレの備え)を、ショートムービーで啓発したいというNHKチーム側からオリエンがありました」

前回は「非常用持ち出し袋の準備」というワンテーマだったが、今回は、避難場所、公衆電話、携帯トイレ、と多岐にわたる訴求を一つのフレームでまとめることになった。
「昨年とアウトプット自体はガラリと変わりましたが、企画の出発点は変わりません。それは、『予算』ではなく、『資産』で動画を作ること。昨年はNHKのドキュメンタリー性やアーカイブの側面に注目しましたが、今年は、NHKならではの歴史とコンテンツに目をつけました。100シリーズ以上続くNHKの看板コンテンツ、朝ドラが育ててきた文化は日本全国にたくさんのファンがいるし、国民に愛されるための試行錯誤の歴史は15,30秒になってもきっとみんなに受け入れられるはず。NHKでないとできないアプローチだと考え企画を立案しました。

また、昨年と違い、伝えるべきことが多岐にわたっているので、ワンアイデアでシリーズにするより表現でフレームにしていく方が色々な情報を受け止められると計算しました」

主演を務めたのは、「なつぞら」「ブギウギ」に出演し、小学生のころ、東日本大震災を福島県で経験している俳優の富田望生さん。語りは、「エール」で語りと出演をしていた声優・俳優の津田健次郎さんが務めている。そして物語は、第1回「転ばぬ先の避難場所?」、 第2回「かわいい子には公衆電話?」 、第3回「石橋をたたいて持ち出し袋?」の3話からなる。

「とにかく朝ドラらしさに徹底的にこだわっています」というように、NHK内のサイトには、『ばんぜん』に登場する人たちの人物相関図も掲載。1話ごとの最後のカットには現在『虎に翼』に出演する俳優たちによる「わたしのそなえ」という投稿コメントも。
「まず、ここ10年くらいの朝ドラをざっと研究し、共通点やシズルを抽出します。その上で、『なつぞら』『ブギウギ』に出演された富田望生さん、『おかえりモネ』はじめたくさんの朝ドラに出演された遠山俊也さん、『エール』での演技が素晴らしかった田中偉登さん、『エール』の語りの津田健次郎さんをキャスティング。そのほかにも、朝ドラあるあるシチュエーションに始まり、題名、各回のタイトルのつき方、ラストの視聴者投稿カット、カラコレや朝ドラに採用されがちなアングル、編集のリズムに至るまで、とにかく朝ドラらしさを追求しました」

スタッフも『虎に翼』『エール』『どんど晴れ』『純情きらり』など、さまざまなドラマの制作に携わった人たちが参加。実際の朝ドラの一環であるようなトーンに仕上がった。
「50個くらい朝ドラオマージュや関連アイデアが入っているのでファンの方ならずともぜひみなさん探してみていただけると嬉しいです」

公開後、「連続テレビ小説を模した作り込みがすごい」「朝ドラ仕立てのおかげで、防災の大事な内容が理解しやすい」などの声が、SNSでは寄せられている。ふだん防災にあまり関心がない層に、防災コンテンツをどうやって届けるかは、NHKにとって日頃から頭を悩ませているテーマだったが、今回は朝ドラ仕立てにしたことで、視聴者によりわかりやすく届けられたという手応えを感じている。

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イメージ NHK防災のサイトに掲載されている「ばんせん」人物相関図

NHK防災のサイトに掲載されている「ばんせん」人物相関図

スタッフリスト

企画制作 電通、AOI Pro.
企画、演出 村田俊平
AD 加藤皓之進
BP 葛石英知
PR 渡邉正臣
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PM 松本有加、福森加奈子
CAS 前田莉奈
アニメーション 牧野惇
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