カンヌライオンズ2024で感じた既視感 正体は「ミーム化」?

6月21日に閉会した、カンヌライオンズ国際クリエイティビティフェスティバル2024。今年も電通 zeroのクリエーティブ・ディレクター 嶋野裕介さんが、要注目トピックを振り返ります。

今年のカンヌのキーワードは?

 
今年のカンヌライオンズも無事に終わりました。アワード応募数は2万6753件(2023年の2万6992件)と微減。

応募が昨年に比べて増加した部門は、Creative Commerce(18%増)、Business Transformation(8%増)、Audio&Radio・Outdoor(ともに6%増)、Creative Strategy(5%増)の5つ。応募主別では、ブランドからの応募が6%増加、メディアオーナーからの応募が31%増加するなど、カンヌがどんどんビジネス界からの注目を高めていることも感じられた。
 
 
「今年のカンヌのキーワードは?」と聞かれたら、

  • ユーモア(をやたら事務局が推してくる)
  • HUMAN/PEOPLE(ユニリーバやABInBevのセミナーなど多数出現)
  • 世界のCMO大集合
  • B to B部門がおもしろい
  • Growth Marketingのアプローチ
  • メディア×スポーツ企画の躍進

などを挙げたい。
これらは受賞作のみならず会場のセミナーでよく耳にした言葉であり、特に今年はビジネスクリエーション/スポーツマーケィング領域で良い事例が多く、必見の価値があった。

現地で開いた「dentsu beach」ではグローバルのクライアントとのセミナーが開催。電通の執行役員(BX・グローバル) 豊田祐一さんが英語でセッション。

現地でのテラスステージでのトークセッションの様子。登壇しているのはSWEATHEADのMark Pollard「MCアイデア(主役となるアイデア)」と「NPCアイデア(脇役アイデア)」という面白い分類で話がなされていた。

 
 
でも、今回は全然違う話をします。
それはカンヌ中にずっと感じていた違和感。

「受賞作が分かりやす過ぎる?」
ということ。

今年現地で私は、地下(受賞作一覧をチェック):セミナー:対話=6:2:2の時間配分にして情報収集の幅を広げていました。なるべく多くの部門のブロンズ以上をチェックするのですが、例年と違ったのは、受賞作のチェックがとても簡単だったこと。

朝イチの誰もいない会場では、澤本嘉光さん(電通グループ グロースオフィサー)も朝からモニターで受賞作をチェックしていました。

これまでのカンヌでは(私の乏しい英語力のせいもあり)何度か受賞作を見直して、文化的背景を検索して、ようやく内容が理解できていました。それが今年は、どこかで見たような設定や課題で、アイデアもわかりやすいものが多く、あっさりと確認が終わりました。全然違う国の、全然違うブランドの仕事なのに既視感がある……。

あれ、もしかして「ミーム化」されてない??

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