世界に拠点を置くグローバル企業にとって、従業員が交流しシナジー効果を生むようなコミュニケーションの機会をつくるには、どんなアプローチが有効か。タノシナルは、グローバル社内イベントの成功事例を紹介するウェビナーを開催し、旭化成 広報部ブランドコミュニケーション室長の朝日賢一氏と同室 福原義樹氏が登壇。タノシナル 代表の福島ツトム氏がファシリテーターを務めた。
2024年5月にタノシナルが開催したウェビナー「最後まで視聴離脱しなくなった! 海外と日本の時差は? 言語は? 旭化成のグローバル社内イベント成功事例」の様子。
最後まで観たくなる「自社ではやっていない」こと
旭化成は2023年12月、従業員を主役にしたグローバルオンラインイベント「Asahi Kasei is…」を初開催。当日は、世界29カ国から約4000名の従業員が参加したにもかかわらず、視聴離脱はほぼなく終えることができた。福島氏は、視聴離脱を起こさないためのポイントとして実施したことがあるコンテンツではなく「自社でやっていない」取り組みに挑むことを挙げた。今回は、経営層などではなく、世界で働く一般の従業員たちが語り合うトークセッションに挑戦。国や事業領域を越えて、これまでにない「本音」が飛び出すワクワクするコンテンツに仕上がった。「グローバルで多岐にわたる事業展開をしているので、それらを束ねたイベントは旭化成グループの多様性が伝わったのではないか」と朝日氏。配信はアジア向け、欧米向けと時間帯を変えて行い、英語・日本語・中国語でナレーションや字幕をつけた。従業員は特設サイトから言語を選択し参加する流れで社内を巻き込んでいった。「出演者の70%以上を海外従業員にしたことも、グローバル開催で視聴離脱ほぼゼロを達成したポイント」と福島氏。
イベントでは、世界の従業員たちの挑戦ストーリーをドキュメンタリータッチで映像化した「A-Spirit Stories」も放映。福島氏は「大きな成功事例を紹介したくなりますが、従業員にとって現場感のあるリアルな事例を選んだほうが自分ゴト化しやすく、最後まで観たくなる」と指摘。映像化した事例は「世界にはそんな考え方でお客さまに寄り添う従業員がいる!
」と共感できるストーリーだった。
「台本通りの発言と思わせない」ことで視聴継続
「Asahi Kasei is…」では進行役に「Wonder(ワンダー)」と「Sparky(スパーキー)」というオリジナルキャラクターを起用。社内や外部の人を司会者にする選択肢もあったが、国や文化も異なる従業員が対象となるイベントのため、「誰もが受け入れられる存在としてキャラクターを採用しました」と福原氏。イベントのテーマ「What is Asahi Kasei?」を反映する存在として「?」と「!」の記号をキャラクター化した。キャラクターは工藤幸四郎社長にもインタビュー、自然体の発言を引き出すことに成功した。実際は福島氏ら制作陣がキャラクター役を務めて収録。その際、事前にテーマだけ設定し、自然な会話のキャッチボールの中からメッセージを抽出することで「台本通りの発言に思わせない」ことを重視した。「配信でもリアルイベントでも、台本の存在を感じた瞬間、従業員たちはテンションが下がります。言葉に詰まる場面があっても、自身の言葉で話すのがベスト」と福島氏は解説した。
ウェビナーでは、視聴者からの質問も受け付けた。「開催時間の長さ」の質問については、福島氏が「1時間を超えると通常業務にも影響がある。所要時間を最初から伝えておくことや、観るべき時間帯を提示することもひとつの方法」とアドバイス。タノシナルでは視聴離脱を防ぐコンテンツの制作だけではなく、インターナルブランディング全般の課題解決も幅広く支援している。
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