電通は7月3日、「ジャパンブランド調査2024」の結果を発表した。同調査は、東日本大震災で日本の農水産物や訪日旅行に風評被害が発生した際に、ジャパンブランドが世界でどのように評価されたかを把握するために始まったもの。対象は世界15の国・地域の20~59歳の7460人。
今回の調査テーマは、「インバウンド(訪日観光)」。訪日観光、日本の食、日本の魅力度、価値観などの設問から「期待」「契機」「関心」「地方」「和食」という5つの視点で、「観光目的で再訪したい国・地域」で日本が1位となった要因を分析する。
本調査の具体的な結果とトピックスは以下の通り。
観光地・日本に「期待」すること
コロナ禍後に活発になった海外旅行において、「2024年に観光目的で再訪したい国」1位は日本であることがわかった(34.6%)。2位のシンガポール(14.7%)、3位のアメリカ(13.0%)と大きな差をつけている。特にアジア圏での人気の高さが目立ち、欧米諸国においても再訪意向が高かった(図1)。
また、日本という観光地に期待したいことについては、「多彩なグルメ」が(28.6%)で最多。次いで「他国と異なる独自の文化」(27.9%)、「他国にない自然景観」(25.6%)、「現代と伝統の共存」(21.2%)、「他国にない清潔感」(20.0%)が上位を占めた。
図1。観光目的で再訪したい国・地域に関するグラフ。
日本を訪れる「契機」1位は、前回が楽しかったから
日本を訪れたい理由として、最も高かったのは「前回日本を訪れて楽しめたので、また行きたいと思ったから」(50.0%)で半数を超えた(図2)。電通はこの結果から、リピーター人気によって日本の観光が支えられていると分析している。
次点には「日本の製品が気に入っていて日本に行きたくなったから」(44.0%)、「自国で日本料理を食べて日本に行きたくなったから」(36.8%)が続く結果に。さらに国・地域別で分析したところ、東アジアでは44.1%が「円安」を訪日の理由に選択している一方、東南アジアは25.1%、欧米豪は25.4%となった。
図2。訪日したきっかけについてのグラフ。
日本旅行における「感心」と「地方」認知度の格差
来日時にお金を払って体験・利用したいものの1位は41.4%で「庶民的なレストラン」(図3)。次いで農泊体験、新幹線、料亭など高級な和食レストランと続いた。一部、居酒屋やコンビニ、日本製の化粧品など日用品が人気な国・地域もあった。その他、「日本オリジナルのコンビニ食品」「日本製のスナック菓子」なども一部の国・地域で支持されている。
図3。来日時にお金を払て体験・利用したいものに関してのグラフ。
また、日本の地方別認知度については、都市部と地方部の二極化が進んでいることがわかった。上位を占める都道府県(東京都、大阪府、京都府、広島県、北海道)は8年間変化なし。
地方観光の障害に対する質問では、ポテンシャル層・ビギナー層・リピーター層すべてにおいて「言語によるコミュニケーションの不安」が最も多い結果となった(図4)。特に、日本観光の経験がないポテンシャル層は、よりその傾向が顕著になっている。また、「地方の観光地アクティビティや交通事情に関する情報源が足りていないから」と答える人も多かった。
図4。日本の地方観光における障害のグラフ。
「和食」の海外輸出の可能性
帰国した後に食べたい日本の料理については、ラーメンが1位。その後、刺身・天ぷら・うどんなど代表的な和食が続く。また、唐揚げやとんかつなど地域によって順位の差が激しい料理もあった。
ジャパンブランドプロジェクトチームの李 春志氏は「地方観光への注力が今後の日本の観光における大きなテーマになっていくはず。和食人気も非常に高く、食の海外輸出についてもポテンシャルが高いと考えています」と話した。