『広報会議』8月号(7月1日発売)では、再春館製薬所が発表した「使用済み化粧品容器を知育プロジェクトに再活用する」取り組みについて紹介した。
※本記事は、『広報会議』8月号(2024年7月1日発売)の転載記事です。
スキンケアブランド「ドモホルンリンクル」を展開する再春館製薬所は2024年5月、全国の常設店舗などで回収した「使用済み化粧品容器を知育プロジェクトに再活用する」施策を開始した。
同社は「人間も自然の一部」という発想のもと、自然の力を先端技術で引き出して人の力に活かすことを掲げた事業を展開。事業と密接に関わる、自然との共生・環境負荷の低減を目指す取り組みを続けており、2023年には「自然とつながり、人とつながる明日を」をビジョンとして明文化した。
今回の容器再活用の取り組みは、SHONAIが運営する児童教育施設での「発明のモト」プロジェクトに参画する形で実現。「子どもたちの創造性を育み個性を伸ばす」ことを目指す同プロジェクトで、工作・発明の資材として使用済み化粧品容器を提供。環境配慮と教育支援を推進する。
再春館製薬所が「使用済み容器」を提供する、児童教育施設(SHONAI運営)の「ツクルバ」。様々な素材や道具を使ってものづくりができる場とし、子どもたちの創造性や自主性を育むことを目指す。
背景として同社には、化粧品容器の再利用に長年の課題があった。「再利用の在り方を何度も検討しましたが、“本質的な解決になっているか、CO2排出などの別の負荷がかからないか” が不透明のままでした」と、研究開発 新規事業部の間地大輔氏。
“本質的な取り組み”を追求する中、2023年末にKIDS DOME SORAIを見学して、端材などを活用した工作機会の提供や児童の作品を目にする。
「ここであれば化粧品容器の再利用がサステナビリティ活動につながる」(間地氏)と着想し、教育にも貢献できることもあり参画を決めた。
そして2024年2月頃から社内で試験的に、回収活動を開始。「2 割ほどの従業員が意欲的に取り組み、月に100~200個程度の使用済み容器を提供しました。好評を得て、お客様参加型の取り組みに発展させています」と経緯を明かす。
使用済み容器を店舗に持参してもらうため、顧客にはXアカウントで呼びかけるほか、化粧品容器を活用した児童の作品写真を店舗に掲出。「使った容器を作品に生まれ変わらせてくれて嬉しい」など、顧客からも好反応が多く挙がっている。
ポジティブな反応が寄せられた要因について、「環境配慮に対して、一貫した姿勢で取り組んできたこと」と「お客様が提供した化粧品容器がどのように生まれ変わるかまでを伝えたこと」を挙げるのはブランドコミュニケーション部 広報・PRチームの早川 陽子氏。
また「使用済み容器は、再び化粧品容器に利活用するのが当然という固定観念がありましたが、異なる用途で活用してもよいと気付くきっかけにもなりました」と環境配慮へのさらなる取り組みへのヒントも得られたという。
今後は破損などの危険性から回収対象外だった、サイズの大きな瓶の再活用も模索予定だ。
「容器回収の取り組みは9月末までを目途に、反応を見ながら今後の展開を考える予定で、状況によっては仕組み化も構想しています。当社の取り組みが自治体や他企業にも広がるきっかけになれば嬉しいですね」(間地氏)と語った。