「追い風」の戦い方:発信量を増やしプレゼンス向上へ
例えば、「追い風」のわかりやすい例としては、コロナ禍におけるECサービスやオンライン診療、あるいは音声SNS、フードデリバリーサービスなどが代表例です。
新型コロナウイルス禍という急激な外部環境変化により、外出制限を余儀なくされ、それによりリモートワークが急速に普及拡大し、関連するサービスが急成長したことは記憶に新しいところです。
あるいは少し古い例ですが、2018~2019年頃のキャッシュレスブーム。政府がキャッシュレス決済の普及を推進すべく「キャッシュレス・ポイント還元事業」を開始したことを皮切りに、小売・金融・IT事業者などが相次ぎQRコード決済市場に参入し、メディアの報道でも「キャッシュレス」を見ない日は無いぐらいの盛り上がりとなりました。
広報活動において、このように社会全体の関心が「追い風」であるときは、その風に乗って発信量を増やすことが即ち露出量の増加=自社のプレゼンスの向上に繋がります。
いわゆる「フィーバー状態」でメディアの関心・アテンションも高いため、発信の量=手数を増やし、同業他社に埋もれない(マインドシェアで劣後しない)ようにすることをベースラインとしつつ、そのなかで競合優位に繋がるようなメッセージングやユニークネスをいかに織り込んでいくか、という戦い方になります。
なお、「追い風」のときの留意事項としては、上場前のメルカリの不適切出品事案や、一時期の暗号資産の不正流出事案に見られるように、社会的な注目度が高い状態にあるときに不祥事やインシデントなどネガティブイシューが発生すると、特定個社のみならず一気に業界全体に対する信用不安に陥るケースがあります(注目度の高さの裏返し)。
そのため、リスク対応や危機管理広報といった「守り」への備えも重要になります。