「無風=凪」のときの戦い方:局面を変える発信を意識しよう
実は一番多い、かつ難易度が高いのが「無風=凪」のケースです。
「追い風」「向かい風」は良くも悪くも世間から注目されているが故に、それを梃子(てこ)に活用するアプローチですが、大半の会社は残念ながらそもそも注目を浴びることはおろか、批判されることもなければ賞賛されることもない、というのが実態でしょう。いわゆる「モメンタム(勢い)」が無い状態です。
そんなときに現場の広報担当者が陥りがちなケースが、とにかく自社のプレゼンスを底上げするため、プレスリリースの本数を増やす、メディアとのコンタクト頻度を上げるなど、「発信量」を増やすことです。
しかしながら、モメンタムがない「無風」状態においては、ただひたすらに発信量をいくら増やしてもインパクト創出に繋がることはありません(=露出に繋がらない or 露出しても埋もれてしまう)。
もちろん発信頻度を増やすことにより、企業やサービスの動きが可視化され、(広報基盤が何も無いゼロの状態に比べて)直接的・間接的に自社の認知度が上がることはあると思います。
一方で、残念ながら「世間の大多数はあなたが思っているほどあなたの会社やサービスに興味はない」というのも悲しいかな、また事実であり、発信の量を増やせば話題になる、という前提は疑った方が良いでしょう。
こういうときこそ、改めて政策動向や自社の業界のみならず社会全体のマクロな動向を踏まえて、自社や自社の業界に対して世間の関心を引き付ける文脈・タイミングを探索したり、それを裏付けるファクトや情報開発を行ったりと、戦略的なコミュニケーションを仕掛けて「追い風」にしていく必要があります。
例えば、外資や大手企業による市場参入や、ライドシェアや電動キックボードに見られるような政策による規制緩和により、突如として業界の注目度が上がることがあります。
ネガ・ポジ含めて外部の事象を取り込みながら、世間の認識を“資源”として活用することにより、局面を変えていく機会として世の中の動向を捉えることが重要です。