インハウスクリエイターは、「深くて、早い」。

ガイドラインをつくり、社内共有の説明会へ

そこで取りかかったのが新しいガイドラインづくり。

例えばカラーに関しては、会社のバリューである「Eat unripe fruits(青い果実を食べる=積極的に新しいことにトライし続ける)」を、HENNGE Oneのカラーコンセプトに込めたいなと思い、「トライ&エラーで進化し続ける製品特性や開発姿勢」を「unripe fruits カラー」としてブルー系のカラーリングで統一しました。

また、いわゆる「カラーリング」「フォント」「デザインマテリアル」のようなデザイン面だけでなく、「デザインプリンシプルの定義」「使用するワードの整理」「新しいエディション名などの製品構造の整理」にも参加し、ブランドの輪郭を少しずつ浮き彫りにしていきました。

実データ グラフィック
実データ グラフィック

筆者がつくったガイドラインから。キーカラーを3色に設定した。

そのガイドラインを、社内の他のセクションやディビジョンの方々と擦り合わせながら、時に意見を取り入れていくプロセスは、大変ではありましたが楽しくやりがいのあるものでしたし、そういった作業を入社間もない時にやれたことで、僕自身の自社サービスへの理解も深めることができました。

ある程度ガイドラインがまとまってきたところで、社内への共有会がセットされました。「全く受け入れられなかったらどうしよう、」という不安もあったのですが、 説明を聞いた方々が喜んでくれた時はほっとしたのを覚えています。

また、「そういう思いでブランドをつくっているんですね、感動しました」と好意的なフィードバックをもらえるなど、半年近い努力が報われた気がして嬉しかったです。

根幹からブランディングを進めながら、それを他の制作物にスケールさせていく作業は非常に新鮮でやりがいを感じるものでした。また、ブランディングの重要性を、代理店とは違う環境で再認識できたのも、貴重な経験になったなと思います。

鮮度が保てる。

また、もうひとつインハウスで仕事をしていて驚いたことがあります。

何かをやろうと決めて、決まるまでがとにかく「早い」ということ。

代理店出身者としては、不安になるくらいパッパパッパ決まっていくんですね(クリエイティブの裁量権が高い会社ということもありますが)。

責任者同士が直接やりとりしていくので、 コミュニケーションの齟齬が少なく無駄に案を広げる必要がないんです(いわゆる検証案をつくらなくていい)。

こういったモチベーションの鮮度を高く保ちながら仕事を進められるプロセスは、とにかくスムーズで、ポジティブなカルチャーショックを受けたのを鮮明に覚えています。

また、社内で基本全ての決定ができるので、なにかアイデアを思いついたらそれをすぐに実行に移せるのもインハウスの強みかなと思ってます。

写真 商品・製品 情シスすごろく

「情シスすごろく」の中身の詳細は、また次回に。

実はそうやって生まれたもののひとつに、「情シスすごろく」というものがあります。

情シスすごろくとは、HENNGE Oneのメインターゲットである情シス(情報システム)業務への興味喚起・理解促進を促すボードゲームで、情シス界隈ではちょっと知られている存在です。

次回は、そんな「情シスすごろく」誕生の話をご紹介します。

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古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)
古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)

広告プロダクション、外資系広告会社を経て、2023年にHENNGEのクリエイティブディレクターに就任。デザイン戦略やブランド構築を担当。同社のメインプロダクトであるHENNGE Oneのリブランディングや、ユーザーコミュニケーションを向上させるデザインプロジェクトを手がける。

古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)

広告プロダクション、外資系広告会社を経て、2023年にHENNGEのクリエイティブディレクターに就任。デザイン戦略やブランド構築を担当。同社のメインプロダクトであるHENNGE Oneのリブランディングや、ユーザーコミュニケーションを向上させるデザインプロジェクトを手がける。

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