第1回:AI共創によるマーケティングの新たな可能性

AIとの話法

AIは人ではありませんが、会話は成立します。

そのような相手に対しては、以下の3つの話法に分けて考えてみます。


1)聞く
2)頼む
3)相談する

1)の「聞く」は、文字通り例えば、「○○社のブランド認知度を調べてください」というようなイメージです。インターネット検索を少し効率化するくらいでしょうか。かつ具体的な指示に対して正確に返答してもらえれば終了、のようなときに有効なモードと言えます。人に例えると、部下へちょっとした指示を出すくらいでしょうか。

2)の「頼む」は、「聞く」の継続的なやりとり、あるいは少し複雑な指示に対して、何らかのアウトプットを求める時の話法です。例えば、「○○社と××社と△△社それぞれのブランド認知度を調べて、報告書にまとめてください」というような指示です。(人の)同僚との仕事の分担するときに近いイメージです。

3)の「相談する」は、AIに対して何らかの判断基準の提示を委ねる時の話法になります。例えば、「○○製品の市場動向について教えてください」と言うような話し方です。ここで注意が必要なのは、生成AIは多数決の原理(中央値)で動いているので、このような聞き方をすると極めて平均的な回答をしてきます。言い換えると、(人なら)誰でも考えそうな当たり障りのないアイディアである確率が高いです。そこを踏まえてうえで、敢えて大きく外したアイディアをこんどは自分で考案するなど、配慮が必要かと思います。

以上の話法で、生成AIはソーシャルメディアでの人通しでの会話のようなモードで気軽に話すことはできます。しかし、先にも述べた通り、AIは宇宙人なので意中の回答を得るまで辛抱強く何度もやり取りを繰り返す必要があります。また、「幻覚」(Hallucination)の現象が起きることもあるので、真偽のほどは最終的には人が責任を持つことを念頭に置くことも忘れてはなりません。

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中原大介
中原大介

帝京平成大学人文社会学部専任講師、慶應義塾大学 SFC研究所上席所員、東京工科大学メディア学部兼任講師。専門は、インタラクションデザイン、デジタル教育、SFプロトタイピング。最先端のAIテクノロジーの社会実装、産学官民共創による教育エコシステムの研究に取り組んでいる。近著『一般教養としてのプログラミング』(SBクリエイティブ、2023年)。

中原大介

帝京平成大学人文社会学部専任講師、慶應義塾大学 SFC研究所上席所員、東京工科大学メディア学部兼任講師。専門は、インタラクションデザイン、デジタル教育、SFプロトタイピング。最先端のAIテクノロジーの社会実装、産学官民共創による教育エコシステムの研究に取り組んでいる。近著『一般教養としてのプログラミング』(SBクリエイティブ、2023年)。

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