プロダクトベースの事業は、機能×価格の勝負になっています。海外メーカーなどの参入で競争の激化が進み、収益を得るためには効率化が必要です。またハードウェア単品であれば、お客様側のキーパーソン、調達、情報システムなどはある程度決まっていて、お客様からの引き合いに営業側はアクションをするという流れでした。
それに対しソリューションベースの営業プロセスにおいては、お客様の要望はまだ固まりきっていないことが多く、お客様の経営課題や現場課題に対して最初から売り物が決まっているわけでもありません。営業は課題を解決する仮説を立て、提案する必要があるため、複雑化し、高度化していきます。また、お客様の複数部署にまたがった課題を把握しなければ、本当にお客様の課題解決につながらないことが多く、営業組織全体で複数のキーパーソンへアプローチをする必要があります。またお客様の課題感を経営視点で捉え、プロアクティブに解決策をこちらから提示することが、コモディティ化を防ぎ、競争力の源泉にもなります。
営業プロセス改革を阻む4つの要因と対策
とはいえ、営業プロセス改革はなかなか困難です。その理由は大きく4つあります。
1つは、営業組織の責任者にSFAのようなツールの必要性がなかなか伝わらないことです。責任者はたいてい営業成績の優秀な人材であり、そのような人たちはツールがなくても成果が上げられるため、その必要性を感じません。2つ目の理由は、営業支援系のITツールは会計システムとは異なるため、「使わなくては自分の業務が進まない」というものではないことです。
3つ目は、営業において自分のやり方を標準化・共有化する文化が薄いことです。最後は、ROIの問題です。一昔前は、ITの導入目的が「効率化をして人を減らすこと」だったためROIが問われていましたが、SFAは市場で勝つための武器であり、効率化ではないのです。そうはいっても、安くはないSFAを導入して正しい使い方をした結果、業績アップにつなげなければならないため、常に意識をする必要はあります。