営業・マーケで共通のKPIを設定する
システム化だけでROIが出せるようになってきたわけではありません。デジタル化を進める一方で、アナログ的なアプローチも取っています。具体的には
- 1. KPIの共通化
- 2. 情報共有の仕組み化
- 3. 営業とマーケの連携
の3つのアクションです。
1つ目の「KPIの共通化」は、営業とマーケで共通のKPIを設定すべきということです。営業は「受注を増やしたい」、マーケは「イベント参加人数を増やしたい」「問い合わせ件数を増やしたい」など、別々のKPIを設定していることがよくあります。
「ユニ・チャーム SAPS経営の原点」より引用
この幌馬車の絵のように、みんなでゴールに向かって引っ張っているようにも見えますが、細かく見るとゴールと違う方向に引っ張っている人もいれば、肝心の幌馬車を引っ張ることに貢献してないような人も見受けられます。中には前進することに負荷になってしまっているような人達もいます。私たちのマーケチームと営業チームでも、このような形でKPIのズレが生じていたため、KPIを少しずつ変遷させていきました。
昨年度にKPIとして取り組んだのは、PV数やお問い合わせ件数など各アクションが生み出した案件の創出額に置き換えたもの。今年は営業と同じ「受注利益」です。
受注利益はマーケ側が対応できる領域ではないという声もありますが、営業と同じKPIを設定することによって変化が生まれました。営業やプロダクト側など同じ受注利益というKPIを持っている人たちと、マーケ側が積極的に関わるようになったのです。企画の立て方や、マーケティングのアクションの取り組み方が変わったと同時に、営業側も「自分たちと同じ目標設定になってるんだね」と、会話がスムーズになりました。
社内広報で必要な知識・スキルを平準化
2つ目は、情報共有の仕組み化です。ソリューション事業では、自社商材だけではなく、パートナー企業の商材も取り扱うため、数百を超える商材の情報やナレッジを営業やマーケティングがどう理解していくかということを思案しました。そこで始めたのが「BizTV」という社内のニュース番組です。
毎週のコンテンツは、マーケチームで内製しています。新しいサービスの紹介や提案事例、受注の成功事例、トップの方針・メッセージを紹介しています。例えば去年の11月には、生成AIをテーマにした配信を行いました。さまざまな部署で「生成AIはどんな使い方ができるのか」とトライを繰り返していますが、そのノウハウなどを伝えることによって、営業がお客様との会話の中で使える、あるいは我々マーケはコンテンツとして使えるようになる可能性があります。
ほかにも、組織横断の情報共有会、受注や成功事例、提案事例のノウハウを共有する場を設け、営業メンバーが自分たちの創意工夫の結果を全員に伝えます。これらを繰り返すことによって、ノウハウ・ナレッジの共有を図っています。