ツール導入は事前の全体設計が肝要。失敗しないために必要な4ステップ

業務改善のためにツールを導入する企業は少なくありません。しかし導入しても半年後には誰も使っていない状態に陥り、失敗に終わるケースは多数存在します。失敗しないためには、ツールを導入する前に全体設計を考える必要があります。
 
本記事は2024年4月に配信された宣伝会議主催のウェビナー「Sales Strategy Conference ~拡張する『営業戦略』の“策定”と“実行”を科学する~」から、注目セッションをレポート。プロジェクト進行を支援する、プロジェクトエディターの前田考歩氏が、ツール導入前の全体設計について具体的なノウハウを解説します。

2種類の製品アーキテクチャ

本講演では、アーキテクチャという言葉を製品のつくり方のスタイルという意味合いで使います。製品アーキテクチャは、モジュラー型とインテグラル型の2つに分けることができます。

モジュラー型は機能と部品、つまりモジュールの関係が一対一に近く、すっきりした形のものを指します。それぞれの部品の機能が完結的であるという特徴もあります。

一方のインテグラル型は、自動車が典型例として挙げられます。車の乗り心地の良さは、ある特定の部品だけで実現されているわけではありません。タイヤ、サスペンション、ボディ、エンジンなどすべての部品が相互に調整し合って、全体で高価値を提供しています。

SFA、MA、CRM、BIツールなどSaaS各ツールも製品アーキテクチャです。例えば、1つの部門で完結し、その部門の作業を効率化するようなツールはモジュラー型。複数部門にまたがって使うことで大きな成果を得られるようなツールはインテグラル型と呼ぶことができます。

2つのアーキテクチャを比較したのが上記の表です。

組織や業務にも2つのアーキテクチャが存在

上記表の「部分」を「部署」に読み替えると、アーキテクチャの考え方は組織や業務にも適用することができます。部分間の調整コストが少ない、対応速度が速いといった特徴は、ルーティン業務が該当します。一方のインテグラル型はプロジェクト型の業務です。ツール導入は大抵、ルーティンでモジュラー型の組織に導入されますが、インテグラルな製品をルーティン型の組織に導入をしたら失敗します。

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