つまりルーティン型の業務をしている組織にモジュラー型の製品を導入すると成功しやすいのですが、複数の部署で利用するようなインテグラル型の製品を導入しようとすると不適合を起こします。その理由は、ルーティン型の業務は基本的に分業をしていて、不必要なコミュニケーションを極限まで削っているからです。
何かの業務をする時に、多くのコミュニケーションをとることはしていません。そのような仕事の仕方をしている組織にインテグラル型の製品を導入しようとすると、不十分な調査や開発活動によって後から追加の開発が発生する、導入しても使われない、活用に必要な入力などの各種作業を全くしないという事態に陥り、ツール導入のプロジェクトを失敗させてしまいます。
プロジェクトが失敗する原因と症状を整理した、プロジェクトの問題症候群マップが上記の表です。関係部署が非協力的であるとか、主要な関係者を招き入れていないとか、大事なことが後から分かったという問題が起きていて、結果的にプロジェクトが失敗するといった結果になってしまっています。他にもメンバー間で認識の齟齬が起きているというような特徴があります。
ツール導入時にとるべき4ステップ
この問題への対処方法は、ツールがインテグラル型なのであれば、組織や仕事の仕方も一時的にインテグラル型、つまりプロジェクト型に変えることです。
そのための手順はさまざまですが、大きくは4つに分けられます。
- 1.関与者・部署がプロジェクト型のマインドセットになる
- 2.未来に得たい成果を言語化し、それが実現している時の構造を可視化する
- 3.立てた計画について関与者・部署と合意する
- 4.真に信頼できるツールベンダーを選定する
まず関与者・部署がプロジェクト型のマインドセットになることが必要です。普段ルーティン型の業務に慣れている方からすれば、プロジェクト型の業務は本来やりたくないものですが、それがデフォルトであるということを皆さんに納得してもらう必要があります。
次に上記2~4を行うための人材をどう育成(選出)するかが課題です。ルーティンワークであれば、OJTや研修マニュアルが整備されていますが、プロジェクトという「いつ起こるか分からない仕事」のために普段から教育をすることはあまりありません。またプロジェクトを進めるにあたり必要な情報をどのように表現するか考えなくてはなりません。