ロフト 広報室 プレスマネジャーの横川 鼓弓さんからの紹介で今回登場するのは、ゼブラ プロダクト&マーケティング部PRチーム課長の池田智雄さんです。
Q1:現在の仕事の内容とは?
ボールペンやマーカーなどの筆記具の製造販売をしているメーカーに勤務し、商品企画とマーケティングを行う部門の中で広報業務に従事しています。
広報活動、自社ウェブサイトやSNSアカウントの企画運営、記者発表会やイベントの企画実施を行っています。自社の社会事業広報誌など紙媒体の企画編集や経営層の取材対応など、コーポレート広報も実施。同じ部門の商品ブランドチームと連携してSNS広告やキャンペーンの運営も行い、売上に直接貢献するための業務も担っています。
自分で手や身体を動かし関係者とコミュニケーションをとる実務から、メンバーとのチーム活動、外部への指示や調整、予算やプロジェクト管理などマネジメントも行っています。
Q2:これまでの職歴は?
学生時代は美術大学でグラフィックデザインや写真を学びながら、デザイン事務所でアルバイトをしていました。自治体のロゴマークや介護施設の入居パンフレットを作ったことを覚えています。
ゼブラに入社後は、宣伝企画部で商品のロゴやパッケージのデザイン、店頭什器の設計、展示会の施工・運営、商品カタログの編集を10年ほどしていました。その後、広告担当になりテレビCMや雑誌と新聞の広告の企画や販売促進の仕事に10年ほど従事。同時に会社のブランドスローガンの作成や管理も行いました。
その次が現在の広報担当を11年、と30年以上一貫して「伝える」仕事をしています。広報になってからはプレスリリースを累計100本以上作成しています。ちょっと自慢したいのは、雑誌「広報会議」の定番コーナー「プレスリリース道場」に好事例として2回掲載していただいたことです。型通りのリリースではなく、メディアに注目してもらえる、取材したくなる、開発者の想いが伝わるリリース作成にこだわって、結果自社の商品を年間200〜300のメディアで紹介されています。
Q3:転職や社内異動などに際して、強く意識したこととは?
大学を卒業後、ずっとゼブラに勤めていて、その間職種は変わっても商品や会社のことをお客さまや社会にどう伝えるか、どう思ってもらうか、を考え続けています。デザイン・広告・広報とそれぞれの職種で経験したことを掛け合わせて今の仕事に生かすようにしています。
異動の度に手法や対象者は変わりましたが、その中でも新しい手法やメディアに取り組んで自分の経験としてきました。自社ウェブサイトはインターネットが普及し始めた頃早々に立ち上げ、SNSも他社よりも先にアカウントを作って運営してきました。
部署が変わるたびに様々なチャレンジをすることで自分の中に引き出しが増えて、目的達成のために一つの方法にこだわらずにプランを総合的に考えることができるようになったと思います。
Q4:国内において広報としてのキャリア形成で悩みとなることは何?
最初はほぼ一人で広報業務を立ち上げ、手探りで手法やメディアをあたって自己流の活動を行っていました。これで合っているのか、成果につながるのかと悩んで、広報の勉強会にたくさん参加して多くの広報仲間と情報交換や悩みの共有をしました。その仲間とはいまだに気楽に連絡を取り合って学び合える関係にあります。
しかしメディアも変化しているのでいまだに手探り状態に変わりありません。特にウェブメディアとSNSはトレンドや機能が常に更新されるのでキャッチアップが大変です。通常業務に追われているといつの間にか時代に取り残されてしまいます。最近はインフルエンサーが商品の購買に影響力を持つようになったため、その付き合い方に戸惑っています。自分だけでなんとかしようとせず、若い社員から学ぶ姿勢や外部の専門組織を頼ることが大事かもしれません。
ただキャリアという視点では、専門性を磨くだけでは活躍できる領域の幅が広がらない不安もあります。例えば、採用やサステナビリティといった「伝える」必要性が高い領域でもこれまでの経験を生かして貢献できたらと思っています。
Q5:広報職の経験を活かして、今後チャレンジしたいことは?
手法やツールが高度化する中で、それを上手に使いながら商品の認知度や売上といった成果にこだわる活動が必要だと思います。
一方で企業が中長期的に社会へ貢献し存在意義を示す活動がないとその存続が危ぶまれます。
社会との接点が多い私たち広報職が社内にその必要性を訴え、具体的な活動につなげられたらと思います。
そのためには社内に閉じこもらず、外の世界を強い好奇心を持って見たり体験したりすることが必要です。そのためにプライベートでも文化イベントや地域のコミュニティに積極的に参加していろんな人に直接会って話をしたり身体を動かすことを心がけています。そうすることで多様性の大切さや社会課題に気づくこともあり、客観的に仕事とつなげて考えることができます。
広報職のやるべきことは多く、いつまでも終わりが見えないように思います。
【次回のコラムの担当は?】
カミナシ
広報PRユニット
アソシエイトマネージャー
宮地正惠氏