グローバルスローガン再定義から始まる、「ホンダらしさ」を実現する仕組み

メディア環境、市場環境が変化を遂げる中、生活者とブランドの接点をつくり、さらにその関係性を深めていくマーケティングやコミュニケーションにかかわる仕事の難易度はますます高まるばかりです。現在発売中の月刊『宣伝会議』8月号では「人材・組織・施策の課題と戦略2024」をテーマに、広告・マーケティング部門の責任者の皆さまに現状の課題や、その課題を解決するための構想を聞きました。毎年恒例の本企画ですが、変わらずにある課題が、人材育成や組織開発に関わるテーマです。そこで今回新たに、コミュニケーションに関わる部門の組織を大きく変え、全社、そしてステークホルダーを巻き込む取り組みを行っている2つの企業に話を聞きました。

 

※本記事は、8月1日発売の月刊『宣伝会議』9月号に掲載いたします。

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千田隆作氏

本田技研工業
コーポレート戦略本部
クリエイティブソリューションセンター
センター長

1999年、 金沢美術工芸大学卒業後に本田技術研究所に入社。4 輪デザイン室でCR-V、オデッセイ、シビック等のデザインプロジェクトリーダー 、 商品コンセプト立案に携わる。2019年より同統括機能本部 。2020年より本田技研工業 経営企画統括部に着任。グローバルブランドスローガン再定義検討等に携わる。2023年より現職。

本田技研工業は2023年4月、2001年から掲げてきたグローバルスローガン「The Power of Dreams」を再定義し、「How we move you.」を副文に加えた。2040年にすべての製品を電動化させる方針を示すなど、大きな変革の時代を迎えた同社。クリエイティブソリューションセンターの千田隆作氏に、現在の取り組みについて話を聞いた。

激変の時代を乗りこえ、その先へ

技術の進歩と、世界的に進むカーボンニュートラルを目指す動きの中で、今、自動車産業そのものが大きく変革の時期を迎えている。そのひとつが「電動化」。本田技研工業においても2021年4月、三部敏宏氏が代表取締役社長に就任した際に「2040年に世界の販売のすべてを電気自動車(EV)と燃料電池車(FCEV)にする」という目標を発表した。

グローバルスローガンの策定に携わり、現在クリエイティブソリューションセンターをリードする千田氏は「電動化含め組織が大きく変化するタイミングで、経営部門が先導するタスクフォースをいくつも組んで、議論を進めていきました。その課題のひとつが、社員の意識を変え、変革をドライブさせるための方向性を定めることでした」と話す。

同社の企業活動の軸は、創業者である本田宗一郎氏と藤沢武夫氏が残した企業哲学「Hondaフィロソフィー」。「基本理念」「社是」「運営方針」の3つから成り立っているものだ。

「経営陣と議論を重ねる中で初めはこれらを再度整理するという話もありました。しかしこのフィロソフィーは、数十年変わらない普遍的なものであるべき。いま目の前の課題を解決し、この先5年、10年という激動の時代を乗り越えていくためには、違う形で表現する必要があるという結論に至りました」と千田氏は話す。

その時に立ち戻ったのが、グローバルスローガンである「The Power of Dreams」だった。


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