プロダクトとコーポレート 双方の相乗効果を
自身も長年4輪のデザインに携わってきた千田氏は、同社の「ブランド」の特長をこう語る。
「当社の製品や事業は多方面にわたります。それらを世界中に展開しているなかでその顧客の幅は非常に広く、Hondaブランドは多面的な存在であるはず。しかしその一方で、ひとつにつながった“Hondaブランド”としても認知されていると認識しており、それが、商品サービスのブランドとコーポレートブランドの間に相乗効果が発揮されているHondaの特徴だと思っています」。
これまで全社としてのブランドガバナンスはほぼVIを規定するのみで、それ以外のデザインやコミュニケーションに関しては個々の事業や部門に一任されていたという。そうしたなかで、エンジニアやデザイナー、一人ひとりの強い想いが商品、サービスやコミュニケーションとして結実し、それこそが「ホンダらしさ」を体現してきたのだ。
「元々、モノづくりに対して強い思いを持った人々が集っている企業。それが結果として世の中や社会を前に進めていく力になってきました。しかし、外部環境や生活者の価値観も大きく変化する時代。先述の電動化や、まだ商品化に至っていない新技術の開発など、全社として指し示すべき大きな戦略を、いかにして明確に、魅力的に発信するかが求められるようにもなっています」。