動機づくり=ストーリープロトタイピング(物語試作)

前回は、AI時代を生き抜くための考え方として、「競争」ではなく「共創」の考え方をするためには「動機」が大事である、という話題を取り上げました。

今回は、まずその「動機」について、考えていきたいと思います。

動機と物語

結論から言うと、

「動機」=「ストーリーテリング」の力

というのが、今回僕が言いたいことです。

ストーリーテリングというと、プレゼンテーションなどで相手にうまく伝えるための力、と認識する方も多いかと思います。もちろん、それも含みますが、ここでは「想像」をカタチにしていく力、も含んでいます。

それは、まだ存在しないけど、未来のありたい姿を「想像」する力。

だれでも、子どもの頃は様々な制約が少ないので、自由に「想像」してたかと思います。
ところが大人になると、色々なバイアスや羞恥心、社会的な制約などがあって、だんだんその想像する余地が少なくなる…そう思われる方は多いのではないでしょうか?

僕は、必ずしもそうとは言えないと思っています。

その理由としては、

「よいアウトプットは“物語”る!」

そう確信しているからです。

よいアウトプット(成果物)というのは、必ずと言っていいほどそのアイディアの“ストーリー”が明確で分かりやすく、面白いことが多いと思います。

僕の場合、大学で授業を担当してますが、学生の課題作品についても、評価が高いものは、まるで映画を観てるような感覚になることもあります。つまり、起承転結がはっきりとしていて、採点していてワクワクしてきます。

また、企業の新規事業やイノベーションに関わることもありますが、訴求出来て多くの人に共感を呼ぶアイディアは、やはり強く物語っています。プレゼンテーションでは腹落ちしやすいですし、そのプロジェクトが難題にぶつかったり紆余曲折を経ても長続きしやすいと感じています。そして、より多くの人にそのアイディアを浸透し、賛同や共感する人も多くなります。

つまり、

「ストーリーテリングのアップデート=ストーリープロトタイピング(物語試作)」

が求められていると思うのです。

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中原大介
中原大介

帝京平成大学人文社会学部専任講師、慶應義塾大学 SFC研究所上席所員、東京工科大学メディア学部兼任講師。専門は、インタラクションデザイン、デジタル教育、SFプロトタイピング。最先端のAIテクノロジーの社会実装、産学官民共創による教育エコシステムの研究に取り組んでいる。近著『一般教養としてのプログラミング』(SBクリエイティブ、2023年)。

中原大介

帝京平成大学人文社会学部専任講師、慶應義塾大学 SFC研究所上席所員、東京工科大学メディア学部兼任講師。専門は、インタラクションデザイン、デジタル教育、SFプロトタイピング。最先端のAIテクノロジーの社会実装、産学官民共創による教育エコシステムの研究に取り組んでいる。近著『一般教養としてのプログラミング』(SBクリエイティブ、2023年)。

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