動機づくり=ストーリープロトタイピング(物語試作)

“試し”にみんなで「小説家になろう」

ノンフィクション=事実だとしたら、フィクション=ウソ、ということができます。ウソなので、その成果物自体は真実味を帯びたことではないはずです。

しかし、その制作過程においては、作り手の経験や体験=リアリティを組み合わせて構築されていると言います。

この想像力(創造力ではなく)をフル活用して、日々仕事をしている職種があるかと思います。

そう、「小説家」です。

もちろん、小説家はとして売れるには、相応の取り組み方が望まれます。

しかし、その発想の仕方=想像力そのものについては、誰でもできる可能性があると僕は考えています。

その主な理由としては、それこそAIと共創すればいいからです。つまり、動機となるプロンプトを入力して、物語を書いてもらうことで、その作業効率や苦手意識を減らせるからです。(マーケティング分野では、既に、ペルソナのストーリーを生成AIと共創する手法が活用されていますよね)。

次に、「試しに」想像してみる、とはどういうことでしょうか?

これは料理に例えると、「味見」に似ています。

料理する過程で、具材や調味料が適当だったら試しに確認してみて、思った通りなら続行、違ったら少し変えてみる、などとするかと思います。

つまり味見とは、最終的には成功して完成させるための許容される失敗の繰り返し、と言い換えることができます。

料理でも仕事でも、失敗が許されない=味見できないと、色々とプレッシャーがかかりますよね?

仕事も同じで、試しに想像してみる=小さな失敗が許される、を繰り返しながら未来について構想していく、ということができます。

むしろ、前回のコラムで言及したように、今後、AIによる膨大なデータ(ビックデータ)のやりくり=「情報変換」役を担ってもらえる割合は増えることは確実です。そうなると、人は動機づくり=物語る力を、むしろ今まで以上に発揮する必要があるのではないでしょうか。

昔から人は、多くの「情報変換」が担ってきたわけですが、急速にAIに置き換わりつつある現在、人はどのようにこの「情報」に向き合っていけばいいのでしょうか?

次回は、この情報とストーリー・プロトタイピングの関係についてみていきたいと思います。

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中原大介
中原大介

帝京平成大学人文社会学部専任講師、慶應義塾大学 SFC研究所上席所員、東京工科大学メディア学部兼任講師。専門は、インタラクションデザイン、デジタル教育、SFプロトタイピング。最先端のAIテクノロジーの社会実装、産学官民共創による教育エコシステムの研究に取り組んでいる。近著『一般教養としてのプログラミング』(SBクリエイティブ、2023年)。

中原大介

帝京平成大学人文社会学部専任講師、慶應義塾大学 SFC研究所上席所員、東京工科大学メディア学部兼任講師。専門は、インタラクションデザイン、デジタル教育、SFプロトタイピング。最先端のAIテクノロジーの社会実装、産学官民共創による教育エコシステムの研究に取り組んでいる。近著『一般教養としてのプログラミング』(SBクリエイティブ、2023年)。

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