西松屋チェーンが取り組む、商品紹介に主眼を置かないオウンドメディア運営

中立的な立場で、子育てに役立つ情報を提供

これらの課題への対策として、西松屋は2018年4月にオウンドメディア『MIMISTAGE』を開設した。同メディア内では、子育てにまつわる幅広いテーマで情報を発信。現在約320本の記事を掲載しており、月間45万PVを獲得しているという。

妊娠中の食事から、産後のヘルスケア、離乳食の進め方にレシピ、お出かけ時の便利アイテム、ワンオペ育児における悩みなど、妊娠中から子育て期までをカバーする多様なコンテンツを紹介する『MIMISTAGE』だが、なかでも強みとしているのがファッションに関わる記事だ。季節ごとに適した服装や、戌の日やお宮参りなどのイベントでの装いなどを提案する記事を揃えている。

そして、このメディアの特徴は情報の幅広さだけではない。情報の多様さ以上に特徴的だと言えるのは、商品広告を極力排除し、子育てに関する情報提供だけに特化している点だ。

「『MIMISTAGE』では、商品紹介ではなく、子育ての悩みに寄り添う情報提供に重点を置いています。もし商品を紹介することがあっても、価格は掲載せず、さりげなく写真などを掲載するだけにしています。またあくまで中立的な立場として情報発信をしているため、他社商品に言及することもあります」

こうして『MIMISTAGE』内での信頼性の高い情報発信に力を入れるだけでなく、公式InstagramやYouTubeチャンネルといった他の発信媒体とも連携し、より多くの顧客への情報発信を目指している。また、店頭で配布するパンフレットに『MIMISTAGE』のコンテンツをいくつか引用し、最後のページに掲載したQRコードを通じてオウンドメディアへの流入を促すというリアルとオンラインを融合させた施策も行っているという。

子育て応援企業であることを複数のチャネルで伝える

これらの『MIMISTAGE』を中心とする取り組みは、子育て支援企業としてのブランド価値向上を目指すとともに、セルフサービスを基本とする店舗では提供しきれない詳細な情報や助言を補完し、それを通じて顧客との関係性を深めるという目的で行われているものだ。

さらに、定期的な企業CMを通じて「今こそみんなで、子育て応援」というメッセージを発信し、「西松屋はただ安価な子育て用品を提供するのみにとどまらない、子育てそのものを応援する企業だ」という印象の形成にも取り組んでいる。

「子育てに役立つ商品の提供はもちろん、本日お話ししたように『MIMISTAGE』を通じて第三者視点での子育て情報を発信するなど、当社ではさまざまな角度から子育てを応援しています。子育て中の方、妊娠中の方はぜひ、一度店舗や『MIMISTAGE』を訪ねていただけると幸いです」

西野 正彦 氏

西松屋チェーン 執行役員 販促・ブランド戦略部 部長

マス広告、Web広告、SNS各メディア、チラシ、店頭販促物、ホームページ、アプリやポイントプログラムなど、あらゆるユーザーとのタッチポイントを通じて、商品情報やセール情報のお届けと西松屋のブランド力向上に取り組んでいる。

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