7月20日から、東京・世田谷美術館で「アートディレクターの仕事―大貫卓也と花森安治」が始まる。
本展では、同美術館が近年収蔵したアートディレクター大貫卓也(1958~)と『暮しの手帖』編集長として知られる花森安治(1911~1978)が手掛けたポスターやグラフィック関連資料を中心に紹介する。
大貫卓也は、広告業界のトップランナーとして活躍する世田谷在住のアートディレクター。1980年多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。同年、博報堂入社。1993年に大貫デザイン設立した。としまえん、日清食品カップヌードル、ラフォーレ原宿、新潮文庫「Yonda?」、ペプシコーラ「Pepsiman」、資生堂「TSUBAKI」、SoftBankなど、多くのブランドコミュニケーションを手がけてきた。また「HIROSHIMA APPEALS2021」で、2022年に東京ADC賞グランプリを受賞した。
大貫卓也 ポスター《としまえん プール冷えてます》 1986年
|CD 宮崎晋・笠原伸介|AD 大貫卓也、増田秀昭|C 岡田直也|I 森本美由紀|AG 博報堂|CL豊島園 世田谷美術館蔵
大貫卓也 ポスター《HIROSHIMA APPEALS 2021》 2021年
|AD 大貫卓也|D 吉岡峻、中橋弘珠|CL広島国際文化財団、ヒロシマ平和創造基金、日本グラフィックデザイン協会 世田谷美術館寄託
花森安治は、終戦まもない1946年3月に、大橋鎭子を社長とする衣裳研究所を銀座に設立、新進の服飾評論家としてデビュー。生活家庭雑誌『美しい暮しの手帖』(のちの『暮しの手帖』)を1948年9月に創刊する。30年間にわたり一切広告を入れず発行100万部に迫るまでに成長させた雑誌『暮しの手帖』を舞台に、表紙画からカット、レイアウト、新聞広告、中吊り広告まで、取材や執筆はもとより、制作から宣伝まで、編集長としてすべてを手がけた。
花森安治 新聞広告(版下)《『暮しの手帖』Ⅱ世紀7号》1970年
世田谷美術館蔵
花森安治 ポスター《『暮しの手帖』Ⅱ世紀3号中吊り広告》 1969年
世田谷美術館蔵
花森安治 新聞広告(版下)《『暮しの手帖』Ⅱ世紀7号》1970年
世田谷美術館蔵
本展では、大貫が手がけた「としまえん」「HIROSHIMA APPEALS」などの広告を展示。また、花森が手がけた雑誌『暮しの手帖』の交通広告や新聞広告などを展示する。同美術館では、同誌の表紙画やカット画をテーマに紹介してきたが、広告は初めての展示となる。
チームを率いて広告の可能性をとことん追求する大貫卓也。デザインからイラストまですべてをこなす花森安治。一見異なるようで共通するふたりのコミュニケーションの考え方、広告表現を探る機会となるだろう。
アートディレクターの仕事―大貫卓也と花森安治
会期:7月20日(土)~10月14日(月・祝)
会場:世田谷美術館 2階展示室
開館時間:10時~18時(入場は17時30分まで)
休館日:毎週月曜日
※8月12日(月・振休)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・振休)、10月14日(月・祝)は開館、8月13日(火)、9月17日(火)、9月24日(火)は休館
入場料:一般 200円/65歳以上 100円/大高生 150円/中小生 100円