フジッコのヨーグルトブランド、売上300%成長を実現したリニューアルとは

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敷田 加寿美氏

フジッコ
コア事業本部
ヨーグルト・デザート事業部 課長

2007年入社。業務用商品の営業を経て、2011年にマーケティング部門へ異動。惣菜製品の担当を経て、現在のヨーグルト・デザート製品部門へ。「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」をはじめ、ヨーグルト・デザート全般のマーケティングを実行している。

フジッコが誇るヨーグルトブランド「カスピ海ヨーグルト」シリーズから、2023年3月に発売された「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」。惣菜煮豆ブランドも展開するフジッコの強みを掛け合わせてできた同商品の売上が好調だという。ヒットの背景にあるのは、「ブランド力の活用」と「戦略的なプロモーション」「店頭施策」だ。

※本記事は月刊『販促会議』2024年7月号 連載「ヒットの仕掛け人に聞く!」 にて掲載されたものです。

写真 商品 「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」

まるごと大豆を使用 フジッコの強みを詰め込んだ製品

──「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」について、どんな商品なのか概要を教えてください。

「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」は2023年3月に発売した大豆をまるごと使用したヨーグルトです。当社には「カスピ海ヨーグルト」という発売から20年近く経っているヨーグルトブランドと、煮豆の「おまめさん」シリーズなどがあり、これまでフジッコが培ってきた2つの強みを掛け合わせたような商品になっています。

当商品は「植物性ヨーグルト」と呼ばれるカテゴリーに属する商品です。2023年の大豆・豆乳系、かつ無糖の植物性ヨーグルトの市場規模は、2018年と比較すると362%。コロナ禍を経た上での健康志向の高まりもあり、市場ごと大きくなってきています。

──フジッコには2020年発売の別の植物性ヨーグルトがありました。「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」はその商品のリニューアルとして発売されたものだと聞きしました。

当商品の前身は「大豆で作ったヨーグルト」という名前の商品。2020年3月から販売していました。「カスピ海ヨーグルト」ブランドシリーズとして販売できていなかったのは、その当時は製造技術が追い付いておらず、商品化が難しいという理由があったためです。

前身となる商品を販売している期間中も製法を何度も見直し、「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」として2023年3月に発売するまでには、約7年の月日を要しました。「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」は2023年3月に発売なのですが、面目としては商品リニューアルを経て、満を持して発売を開始したというかたちです。

写真 商品 2023年3月に前身の商品をリニューアルする形で発売した「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」。

2023年3月に前身の商品をリニューアルする形で発売した「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」。名前の通り大豆をまるごと使っているのが特徴。

「よく知らない」商品を試す機会はどうつくるのか

──リニューアルから1年が経過した「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」ですが、売上は好調だと聞きました。ヒットの要因は何だったとお考えでしょうか。

ひとつは、「カスピ海ヨーグルト」の名前を背負って発売ができたことだと思っています。当社の「カスピ海ヨーグルト」は2005年に発売して以来、15年で14倍の成長を遂げた、今やフジッコを代表するほどの認知を獲得できている商品です。

その「カスピ海ヨーグルト」の名のもとで販売するとどうなるかというと、トライアルの件数が増えるという現象が起きます。


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