笑顔とあいさつの実施率1.6倍 接客教育AIを約240店舗に本格導入、イオン

買い物環境の向上で来店増を目指す

イオンリテールは7月、従業員の接客教育の一環で、笑顔と発声のトレーニングが可能なAI端末「スマイルくん」を導入した。導入店舗は「イオン」「イオンスタイル」約240店舗。一部店舗(8店舗/約3400人)の従業員を対象に実証実験を行ったところ、実験店舗では従業員から顧客への笑顔とあいさつの実施率が導入前と比べて約1.6倍に向上した。接客力の向上につなげ、より顧客が来店しやすい店舗づくりを推進する考えだ。

「スマイルくん」で笑顔と発声のトレーニングを行う様子

AI導入前から、ビデオ動画に合わせてあいさつをするといった訓練を実施していたが、多くの従業員に基準を示し、一律に行うことは困難だったという。接客時の笑顔や発声の基準が人によって異なることで、「口角が十分に上がっていない」「声量が十分でない」「聞きやすい滑舌になっていない」「上がり調子や下がり調子が異なっている」などの課題があり、同社が目標とする水準に十分に達していなかったとしている。

そこで、人材育成DX製品を提供するInstaVRの「スマイルくん」を導入。スマイルくんに向かって従業員があいさつをすると、450以上の顔の表情の特徴点や、声量、滑舌、調子(音程)をリアルタイムにAI分析して、笑顔・発声の完成度を評価する。目元や口元などの笑顔のポイントを100段階でスコアリングし、発声についても、声量、滑舌、調子などを視覚的に即座にフィードバックするため、従業員は少しずつ笑顔や発声を改善することができる。

「スマイルくん」は笑顔・発声の評価に応じて経験値を得ることができ、一定の経験値を得るとレベルが上がるほか、レベルに合わせて難易度やバリエーションが変化するといったゲーム要素も含まれているため、毎日の利用でも飽きずにトレーニングできる。基本的には、毎日出勤時に1回のトレーニングを実施しているが、従業員からは「楽しくトレーニングができる」と高評価を得ている。

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