現役大学生が「カンヌ国際映画祭」を現地取材!  世界の大舞台で見えた日本のエンタメが抱える課題

日本映画界に対する世界の期待 もっとうまく活用できたら

今回、初めて「カンヌ国際映画祭」に参加をして、いくつか会場の雰囲気などから、日本側が自ら新たな人々と出会いにいき、異なる新たなコミュニティへと入り込んでいくということの必要性を強く感じました。

たとえば、スタジオジブリの授賞式では、団体としてカンヌ史上初めて名誉パルムドールを受賞するような歴史的な瞬間であったのにもかかわらず、受賞者の宮崎吾朗氏らがレッドカーペットを歩く際にその撮影に集ったプレスの数は、他の上映のときと比べて非常に少ない様子でした。同じ日の夜の上映でセレブや監督がレッドカーペットを歩く際には、プレスが脇の階段に並んで3,4段分がすし詰め状態になっていたのとは対照的に、日中だったとはいえ、宮崎氏らが歩く際には、プレスが1段分ほどしか集まっていませんでした。

一方で、会場の中へと入ると、スタジオジブリのこの瞬間を見届けるために世界中から集った人々で劇場は大盛況でした。この対照的な様子を見て、一部世界に熱心なファンは確かに存在するものの、世界中のプレスやそれを視聴する世間のこの受賞への一般的な注目度は、他の映画作品と比べて残念ながら低いのではないか、と感じてしまわざるをえませんでした。

写真 スタジオジブリへの名誉パルムドールを受賞する宮崎吾朗氏。

スタジオジブリへの名誉パルムドールを受賞する宮崎吾朗氏。

以上の現場の生の様子について、私は邦画業界だけではなく、「もの」を通じた同じく日本文化の表現者として、日本の広告業界の方々にも真剣に考えていただきたいと思っています。世界の文化交流の場に参加するときに、世界での日本の存在感や、世界の場で私たち日本人がしてしまいがちなこと、あるいは、しないで済ませてしまいがちなこと、はいったいどのようなのでしょうか。ぜひ読者のみなさまには、当記事をまずは自分事として捉え、考えてみていただけたら大変嬉しく思います。

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