体験通じて水分補給飲料の有用性訴求
今年の夏は猛暑が予想されており、気象庁は7~9月の気温について全国的に平年以上になると見込んでいる。総務省消防庁によると7月1~7日の全国の熱中症による救急搬送人員は9105人(速報値)で、前週(6月24~30日)と比べ6829人増加。前年同期(5079人)と比べ、2倍に近い数値となっている。熱中症は発汗による水分不足だけでなく、塩分不足も大きな要因。それらを補う「水分補給飲料」メーカーは熱中症対策の啓発活動に力を入れ、自社ブランドの認知度を高めている。代表的な水分補給飲料ブランドを持つ2社に活動内容について聞いた。
1980年に発売したポカリスエット
輸液をルーツとする健康飲料「ポカリスエット」を手掛ける大塚製薬は、疾病の診断・治癒から健康維持増進のサポートまで、人々の健康を身体全体で考えるトータルヘルスケア企業として、製品開発や啓発活動を実施している。
ポカリスエットは、「汗の飲料」をコンセプトに、発汗によって失われた水分、電解質(イオン)をスムーズに補給する健康飲料として1980年に日本で発売開始。発売以降、同社の佐賀栄養製品研究所においてイオン飲料の更なるエビデンスを求め、30年以上にわたり運動・スポーツ時、乾燥した室内、風呂上がりなど、様々なシーンにおける水分・電解質補給についての研究を続けている。研究で得られた科学的根拠に基づいたデータは、熱中症対策などの啓発活動の礎となっている。
ポカリスエット プロダクトマーケティングマネージャーの岩﨑央弥氏は「発売以来、各時代における渇きによって生じる健康課題に対して取り組んでいくこともポカリスエットの役割の一つと捉えて活動している」とし、「『水分・電解質補給』の重要性を訴求していく中で、今後増えていくと思われる健康課題として捉えたのが熱中症だった」という。ポカリスエットの発売当初はスポーツ時における水分補給はタブーとされていたが、啓発活動を通じて熱中症対策への意識が高まり、現在では一般生活者にも広く浸透したとしている。