「情シスにとって、有給休暇よりも『何もない日』の方がリアルです」
安江:僕自身は、コミュニティを運営しているので、 ゲームをやった結果プレイヤー同士に繋がりが生まれるのか、ゲームをきっかけにコミュニケーションがちゃんとできるかどうか、みたいなところでアイデアを出していった感じですね。
あとは一部の情シスしか知らないような、少し古いツールや逆に最先端のトレンドになっている用語もあえて入れたりしてます。そうすることで、「これなんすか?知ってます?」的な盛り上がりもつくりたいなと思い。
古野:なるほどなるほど。
板垣:2021年12月末頃に、来年の4月の「Japan IT Week」に出展しようという話になりました。実際には1月中旬から動き始め、2カ月半ほどでスピード重視で作成しました。ただ、その時は試作品で、「情シスすごろく1」のベータ版のようなものでした。
当時制作したベータ版(プロトタイプ)から。
安江:このプロトタイプをベータ版として「Japan IT Week」に展示したところ、かなり話題になり、多くのお客さんに認知してもらえました。
僕らもお客さんとそのベータ版で一緒に遊び、フィードバックをもらって、それを元に「情シスすごろく1」に繋げました。
板垣:半年後にHENNGE主催のカンファレンスがあるので、そこで遊べるようにベータ版をブラッシュアップしようという話をしました。
実は、プロトタイプのときは理論だけでつくり、実際に遊んでいませんでした(笑)。本番で遊んでみると、カードの枚数が足りず、遊び方によっては成立しないことが判明しました。
そこで、もっとカードを増やすために「あるあるネタ」を用意する必要がありましたが、自分たちだけでは限界があったので、応募してくれた方に抽選で、完成した「情シスすごろく1」をプレゼントするという形で、カメレオン内でユーザーさんからネタを募集しました。
安江:また、ユーザーさんにベータ版を試してもらった時に、これは社内の情報セキュリティ研修でも使えるという話が出ました。
最初の想定とは違いますが、情シスに詳しくない人たちも一緒にプレイすることで、情シス業務や情報セキュリティの理解を楽しみながら学べる可能性があると感じました。
古野:たしかに、情報セキュリティ用語って難しくとっつきにくい印象があるので、研修で活用すればもっと楽しく情報セキュリテイのことが学べると思います。ちなみに、ほかにユーザーさんからの意見で予想外の発見ってありました?
板垣:「有給休暇」ですかね。
安江:(笑)。
板垣:あるユーザーの方との雑談で、その方が「有給は有給じゃない」と言っていました。
ゲーム内の設定では、インシデントが起きないボーナスマスとして「有給休暇」があり、そのマスを踏むと何も悪いことがなく、メンタルも回復するという設定でしたが、その方によると、情シスは有給休暇でも問い合わせが絶えなくて休めないとのことで、実質は家で仕事しているようなものだと(笑)。
安江:有給休暇より「何もない日」の方がリアルですって話になって。確かにって(笑)。有給を廃止して「何もない日」にしたんですよ。
他にもそういったフィードバックを集めたくて、ユーザーの方にオフィスに来てもらって、試遊会をやったりしながらゲームのルールやあるあるについてフィードバックをいただいたりしてましたね。
古野:おもしろいですね。そういった発見ってターゲットの方と話すことで見つかりますよね。