PRにおける現実的なアプローチを指し示す1冊~『新しい「企業価値」を創出する PR4.0への提言』によせて(濱田捷彦)

この本は、時代とともに移り変わってきたPR(パブリックリレーションズ)の潮流を説明した上で、PR担当者が現在直面している課題に対して具体的な事例や調査内容を交えて、私たちに1つのアンサーを示してくれる「手引書」のような書籍だと感じました。

スマートフォンを使えば生活者一人一人がメディアとして発信することができるようになった今、既存のメディアを通じ多数の生活者に情報発信を図るPR手法のみでは企業の魅力を伝えることが難しくなってきました。

また、個々が自由に意見を発信することが可能になったことで多様な価値観が可視化され、それゆえに企業が価値観にそぐわない情報発信をした場合は批判されたり、時には炎上するリスクも高まっています。

企業にとってブランド向上につながる情報発信をするのが難しい昨今において、効果的なPRをするための示唆を本書では与えてくれます。本書の最終章では「PR4.0実践に向け留意すべき7つの視点」を示してくれていますが、その中で「ブランドアクティビズム」「コレクティブ・インパクト」などの言葉が出てきます。

あらゆるものが可視化され、「やっている感」「みせかけ」のPRが通用しない今だからこそ多様な価値観にすべて寄り添うのではなく、企業にとっての理念・パーパスをしっかりと定め、パーパスに基づいた行動指針で社会的問題に取り組み、インパクトを起こしていくことが重要になってきています。

机上の空論ではなく、現在PR担当者が抱えている問題に対し、現実的なアプローチを指し示してくれるのでPRに携わるすべての方に気づきを与えてくれる一冊になっています。

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濱田捷彦

(象印マホービン 広報部 サブマネージャー)

2018年象印マホービン入社し広報部に配属。入社以来、社外広報業務を担当。

写真 表紙 PR4.0への提言

定価:2,200円
(本体2,000円+税)

『新しい「企業価値」を創出する PR4.0への提言』
編著:株式会社 電通PRコンサルティング

本書は、電通グループ内のPR領域における専門会社である電通PRコンサルティングが2020年8月から3年間、月刊『広報会議』(宣伝会議発行)において連載した「データで読み解く企業ブランディングの未来」をベースに、現在、そして来るべき広報の未来に向けて加筆しました。
『PR4.0への提言』は、序章と7つの章で構成されています。序章では、まずPR(パブリックリレーションズ)の進化について振り返ります。PR1.0は情報拡散を目的としたPRとして位置づけ、その後はPRの効果測定の指針として世界的に採択されている「バルセロナ原則」(※)に照らし合わせ、2.0(アウトプットからアウトカム)、3.0(インパクトの評価)としています。そして来るべき「PR4.0」はどこに向かうのかを、本書を通して考察していきます。

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