新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)は7月1日から、水族館で人気のクラゲのグラフィックで小田急線2編成の車両内を広告ジャックする「くらげとれいん」を実施している。31日まで。
本企画は、7月12日から11月中旬まで水族館で開催している特別展「“えのすい”のくらげ展」のプロモーションとして実施している。メインターゲットをカップルや友人同士、ひとりで行動する成人女性と設定し、サブターゲットは、水族館のファンやクラゲ好きとした。メインターゲットに届けつつ、既に興味関心を持っている層が周囲に広めるきっかけとなることを狙った。企画制作は同水族館と小田急エージェンシーが実施。
広告は、水族館の人気の展示空間「クラゲファンタジーホール」を再現するという軸で展開。中づり広告には、ホールの天井をイメージしたグラフィックを掲出。クラゲの体内をイメージさせる半ドーム式に合わせた形にして、車内でも“幻想的な癒しの空間”に浸れるように表現した。
中づり広告。「クラゲファンタジーホール」の天井やミズクラゲ、アカクラゲがただよい、泳いでいる様を写した。ホールやクラゲに合わせてカットされている。
ドア横には、実際に展示で使用している解説文や今回新たに制作した解説文と共に、6種のクラゲのポスターを掲出。もともと飼育スタッフによる詩的な解説文が特徴で、広告でもコピーとして採用した。
ドア横に掲出されているポスター。7月12日より世界初展示となる「ポドコライナ・ボレアリス」などクラゲ6種が写っている。
「タコのようには動けませんが、陽の光の下でぷかぷかするのが得意です。なにも不足はありません。」(タコクラゲ)、「生きるコツは、後もどり。やりなおせばよし。何度でも。」(ベニクラゲ)などと並ぶ。
ドアガラスには、「キャノンボールジェリー」という丸くて小さなクラゲを透明な背景に写したステッカーを配置。酷暑の中、視覚的な涼しさも意識した。
ドアガラスに掲出しているステッカー。1編成に1枚だけ、電車ならではの特別なステッカーが貼られているという。
水族館の広告制作スタッフは「通常の交通広告よりも広告の接触人数が少なくなるジャックの手法上、きれいにつくり込むよりは気軽に何か言える要素を残すことでSNSでの投稿、話題づくりに繋げることを意識しました」と振り返る。
また表現について「ゆるい雰囲気のコピーにしたり、『胃腔がハート型のクラゲ』を隠れキャラのように入れてみたり、ノルウェーから来たクラゲにちなんでノルウェー語の挨拶を入れたりするなど、細かな工夫を凝らしています」と話している。
運行区間は小田急江ノ島線、小田原線、多摩線の全線で2編成。掲出当初の3日間では、SNS上で「涼しい」「癒やされた」「行きたくなった」などの好意的なコメントが70件ほど寄せられるなど、反響があった。