タピオカ流行過ぎても問題ない ピンチをチャンスに変えたゴンチャ経営戦略

avatar

角田 淳氏

ゴンチャ ジャパン 代表取締役社長

1971年生まれ。米ペンシルベニア州立テンプル大学卒業後、大手自動車メーカーに勤務。その後独立し、スポーツや音楽イベントの企画やマネジメントを手がける。約10年間スポーツマネジメント、マーケティングに携わった後、2010年に日本サブウェイに入社し、マーケティング、経営企画などを経て、2016年社長に就任。2021年からゴンチャジャパン代表取締役社長。

ゴンチャ ジャパンはタピオカブームが去ってもなお、好調な業績を保っている。その背景には、同社 代表取締役社長 角田淳氏の「現場力」があった。

誰かの「楽しい」をつくる 仕事の軸を見つけたあの頃

──2021年にゴンチャ ジャパンの社長に就かれるまで、自動車メーカーやイベント事業でのご経験など、業界を問わずキャリアを積んでいらっしゃる印象です。

社会人として初めて入った会社は大手自動車メーカー。その後は独立して音楽やスポーツのイベントを企画する会社の立ち上げに携わったり、スポーツマーケティングを仕事にしたりと、いろいろな業界を渡り歩いてきました。

その中で気づいたのが、自分自身の仕事への価値観です。音楽もスポーツも、それ自体がもともと好きだったのですが、深く考えてみると、「誰かを楽しませること」が好きなんだと気づきました。それ以来、自分が仕事に打ち込む際は、誰かの「楽しい(fun)」をつくることを軸にしていますし、きっと生業なのだと思います。

ですが、この「楽しいづくり」。まずは自分が楽しまなければ、成し遂げられないと思うのです。例えばアーティストのライブに行ったときに、パフォーマンスしているアーティストがステージの上でつまらなそうにしていると、観客もつまらないはずですよね。スポーツも同じだと思います。だからこそ、まずは自分が楽しむ。社員が楽しむ。これが大事なのです。

その後にサブウェイに入社することになるのですが、きっかけは、トライアスロンのマーケティングに携わっているときに当時のサブウェイの社長に声をかけてもらったことでした。外食産業は初めてでしたが、これがぴったりハマって。というのも、飲食も誰かの「楽しい」を提供するという軸は同じなんですよ。だから私の価値観にマッチしたのだと思います。

──サブウェイは2016年から社長に就任されていますね。

サブウェイの社長になった直後の頃は、あらゆる「火消し」を行っていましたね。まるで消防士みたいに。当時のサブウェイは店舗数も減少し、勢いがなかった時期でした。社内の雰囲気も良いとは言えなかったですね。要は、いろいろなところで改善していかなければならないことが多かったのです。

社員全員の努力があって結果的に立て直すことができましたが、最初の3年間は正直辛かったですね。でも、この経験がゴンチャでも活かされていると感じています。

写真 人物 ゴンチャ代表取締役 角田氏。

ゴンチャ代表取締役 角田氏。

タピオカブーム後の社長就任「何ら問題ないと思っていた」

──ゴンチャの社長にはどのような経緯で就任することになったのでしょうか。

これもありがたいことに、当時の経営に携わっていた方々からお声がかかったことがきっかけでした。ですが、私にはサブウェイがありましたし、悩んだというのが正直なところです。もし自分が退任するなら、サブウェイをしっかりと再成長させてからだと思っていたので。ですが、先ほども話した通り、社員の頑張りがあって回復したこともあり、2021年に後を引き継ぐことになりました。

──ご就任当時はコロナ禍真っ只中。タピオカブームも去った頃でした。

タピオカブームのピークが2019年。その後はコロナもありましたし、ブームも去ったタイミングでの社長就任でした。その頃のゴンチャは今後の方向性を模索しているところでしたね。

暗い顔をしている社員もいましたが、私が最初に持ったゴンチャへの印象は「何ら問題ない」ということでした。タピオカブームが過ぎ去っていたとしても、成長できる勝ち筋はあるなと思っていましたね。

最初に取り掛かったのは、「ゴンチャは何を目指すのか」を考えることでした。もちろん「タピオカ」に価値を感じる社員もいれば、「サードプレイス」的なお店を目指したいと考える人、商品の軸になっている「ティー」がコアバリューだと考える人もいました。この中で私が勝ち筋として注目したのは「ティー」です。

まず、「ティー」を中心においたカフェを想起したときに王道のお店が思い浮かばなかったこともそうですが、「文化」にできると思ったのが最も大きいですね。

日本は「ティー」を飲むことが文化としてそもそも根付いていますし、仮にコーヒーと比較しても飲用する年齢層が幅広い。

そして「ティー」という商材の特性と相まって、「いける」と思ったのはゴンチャの利用層です。タピオカブームが去ってもなお、コアになっていたのは10~20代の若年層でした。外出先で「ティー」を飲むことを文化として根付かせながら、一緒に歳をとって成長することができる顧客層がいるのは、会社にとっても大変ありがたいことです。このようなポイントからも、「ティー」に着目すれば勝てるのではないかと考えました。

この「文化にする」という観点は、ブームが過ぎ去ったときこそ、必要だと考えています。流行時は行列に並び、時間をかけてでも飲みたいと思ってもらえていても、それが終わるとそうではなくなってしまう。だからこそ、選ばれ続ける「文化」にするためにはどうすればよいのかを考えることが重要です。これが、流行が終わったとしても生き残り続ける鍵だと思っています。

―――続きは、月刊『販促会議』7月号でお読みいただけます。

写真 表紙 『販促会議』2024年7月号

月刊『販促会議』2024年7月号

【巻頭特集】
最初の「1秒」で勝負が決まる
縦型動画プロモーション
 
【特集2】
なぜ今、
「ショートドラマ×プロモーション」
がアツいのか
 
【特別企画】
第16回「販促コンペ」

advertimes_endmark


この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ