日産自動車 ブランド&メディア戦略部シニアマネージャーの松村眞依子氏が6月24日~7月1日に開かれた「宣伝会議サミット2024(夏)東京」に登壇。「日産が実践する多様なメディアへのチャレンジと、共感を最大化させるマーケティング戦略」をテーマに講演した。
車種ごとのコミュニケーションを刷新
日産自動車は2023年12月に創業90周年を迎えた。「他のやらぬことを、やる」という創業時から続くDNAは、今も「やっちゃえ精神」として同社に根づいている。ブランド&メディア戦略部の松村眞依子氏は、「日産は『電気自動車』と『自動運転技術』の2軸でお客様へワクワクを届けたいと考えています。それらを踏まえたメッセージが『技術の日産が、人生を面白くする』です」と説明した。
松村氏は、ここ50年ほどの時代の変遷について次のように解説する。「1970年代から続いた『モノ消費』から、90年代に始まった『コト消費』へ、さらには2011年の震災を期に、気持ちを満たす『エモ消費』へと入りました。今はお客様が企業理念や姿勢に共感した上で、納得して買う時代になったのです」
それに伴い、同社では従来のマーケティング手法を改めた。車種ごとに行っていたコミュニケーションをやめ、オール日産体制で『技術の日産が人生を面白くする』を伝えるべく転換を図ったという。「お客様にワクワクしてもらえるようなコミュニケーション。それが、エモ消費の時代に伝えるべきメッセージだと思っています」
テレビCMで認知拡大、SNSで理解促進
そこで日産がマーケティング戦略の柱に据えたのが「共感最大化」だ。顧客に寄り添って共創する「インサイドドリブンアプローチ」と、顧客にとって興味や関心の高いタッチポイントは何かを探る科学的な「サイエンティフィックアプローチ」を同時に行ってこそ実現可能になるという。
そして、共感最大化のためのメディア戦略が、デジタルとテレビの統合運用だ。直近のメディアトレンドを踏まえ、デジタルとテレビ、それぞれの良さを生かして統合的にバランスよく投入することが重要だと松村氏は強調する。