「ひとつのメッセージを広く届けられるテレビCMでは、車名などの認知拡大を重点的に行います。その一方で、動画やバナー、SNSなどのデジタル広告では、ターゲット毎に『先端技術』や『運転のしやすさ』、『補助金について』、『航続距離』などのコンテンツをご視聴いただき、理解促進を図ることにしています」
動画再生4000万回を突破した「Pro PILOT MOP」
そうした共感最大化の代表的事例として松村氏が挙げるのが、特別協賛した「ワールドカップバレー2023女子大会」(2023年9月)の開幕戦の試合前に実施した「Pro PILOT MOP(プロパイロットモップ)」のパフォーマンスだ。先進運転支援技術「Pro PILOT2.0」に着想を得て開発されたモップとダンサーが共演。オリンピック出場をかけた大会で、観戦者のインサイトである「応援」からパフォーマンスの演出につなげた。
「試合会場では、通常は販売している金のバルーンを配布し、『一緒に応援しよう』という姿勢を打ち出しました。また、TikTokではデジタルエフェクトを使った『バルーン応援体験』の施策も行いました。大会前から事後に至るまで、常にお客様に寄り添った共創ができた事例だといえます」
「リアル×SNS×デジタル×地上波」で統合的にプランニングした同施策では、広告換算において同社史上最高レベル、動画再生数は4000万回突破、エンゲージメント数は30万を超えたという。
松村氏は、今後の日産が目指すマーケティングについて、次のように話を締めくくった。
「さらなる『エモ消費』へのシフトと、広告に対する価値観の変化への対応。そのかけ合わせが、今後の日産自動車の戦略PRとマーケティングにつながると思います。そうしたクリエイティビティの土台として、AIを始めとする様々なツール活用にも積極的に取り組みたいと考えています。デジタルの活用によって、今後はROIが見えにくい領域にもチャレンジしていきたいですね」