JTBグループが35年ぶりに実施した大規模なリブランディング

6月24日~7月1日にオンラインで開催された宣伝会議サミット2024(夏)にJTBの荒井寛子氏が登壇し、JTBグループのリブランディングの取り組みを紹介した。
スクリーンショット イベント ウェビナー 宣伝会議サミット2024(夏)

新ビジョンを策定しリブランディングを推進

JTBグループは「『新』交流時代」を切り拓くべく、事業とブランドの両輪でリブランディングを展開している。荒井氏はまず、JTBグループの歴史を振り返り、旅行業界で初めてとなるCI導入などの実績を紹介しながら「私たちは時代時代の大きな節目でブランドに立ち返り、必要なアップデートを進めてきました」と話した。

現在、JTBグループは「交流創造事業」を事業ドメインとしている。グループの起点となるツーリズム事業、成長戦略のひとつとなっているエリアソリューション事業にビジネスソリューション事業を基幹として、地球を舞台にあらゆる交流を創造し、人々が感動し共感する社会をつくることを目指している。

今回、35年ぶりにリブランディングを実施することとなった背景について荒井氏はふたつの理由を挙げた。ひとつは新型コロナウイルスの世界的な感染拡大だ。特にツーリズム業界への影響は大きく「JTBグループも売り上げの7割が消失するという創業以来の危機に直面しました」(荒井氏)。2020年に就任した山北栄二郎社長の体制のもと、コロナ後の世界観や価値観を見据えた2028年までの中期経営計画「『新』交流創造ビジョン」を策定した。このビジョン策定がリブランディング実施につながっている。

ふたつ目がブランド認知の状況だ。中期経営計画実現のために、どのようなブランドとして認知されなければならないのかを考え、社内外で現在のブランド認知について調査した。その結果、旅行関連のビジネスは50%近い認知があったものの、交流創造事業に関して様々な領域で展開しているビジネスについては低い認知にとどまっていた。この調査結果もリブランディングの必要性を感じるものとなった。

社員の行動の柱「The JTB Way」を見直す

リブランディングに際して行ったのは、グループすべての企業活動や社員の行動の柱となる「The JTB Way」の見直しだ。荒井氏は「経営理念は不変ですが、その下に中長期で何を目指すのかという経営ビジョンを新たに加え、その実現のために中核となる概念は今のままで良いのか、議論を重ねました」と振り返る。概念の全体図を提示しながら、議論の結果改訂したブランドプロミスの変更点について解説した。また、「The JTB Way」を支える「ONE JTB Values」は9000人の社員の意見をもとに作成された日々の判断、行動基準となる価値観であることにも触れた。

スクリーンショット イベント ウェビナー 宣伝会議サミット2024(夏)

「『新』交流創造ビジョン」は、1.構造改革、2.回復・成長、3.成長・飛躍の3フェーズで構成されており、現在はフェーズ2の最終年に当たっている。荒井氏は「私たちがありたい姿と社会からの認知には差がありました。リブランディングでその差を埋めるときに大事なのは、事業とブランド構築を両輪で実施することです。ロゴマークの変更などで情緒的な価値を刷新するだけではなく、新たなブランド体験を提供できるサービスを生み出し続けることが何より大事です」と強調した。

リブランディングで目指しているのは「交流を創造し、挑戦し続ける、多様性あふれるダイナミックなブランド」だ。2020年7月の「『新』交流創造ビジョン」策定以降、2022年4月にThe JTB Wayの改訂を経て23年1月に新たなブランドガイドラインを作成し、同4月から新たなブランドイメージを社内外にローンチしている。荒井氏はそこで実施している社内外へ向けた施策についても解説した。

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