オリオンビールが宣伝予算を沖縄県内に集中投下する理由

オリオンビール執行役員CMO マーケティング本部長の湖東彰彦氏が、6月24日~7月1日に開かれた「宣伝会議サミット2024夏」に登壇。オリオンビールの成長戦略について講演した。

イメージ オリオンビールの成長戦略についてスライド

沖縄でビール市場シェアNo. 1

1957年、沖縄県に設立されたオリオンビールは現在、従業員数300人弱、売り上げ200億円ほどの規模に成長している。近年はビールや酒類の製造のほか、「オリオンホテル那覇」や「オリオンホテルモトブリゾート&スパ」などのホテル事業も手掛けている。現在の旗艦ブランド『オリオン ザ・ドラフト』の前身となる1960年発売の『オリオン生ビール』は、缶入りでは国内初の生ビールだという。

湖東氏は冒頭、「広告宣伝費については大手4社と比較すると100分の1くらい。ですが実は日本で唯一、大手4社がシェアナンバーワンではないのが沖縄県で、オリオンビールがそのトップシェアを持っています」とビール市場について解説した。また、日経クロストレンドが発表している「顧客幸福度」ランキングでは、ビールカテゴリーにおいて同社ブランドが1位に選ばれていることも紹介した。

少ない広告宣伝費にもかかわらず、高い評価を得ている理由については、「年間1000万人の方が沖縄を訪れていただいていて、滞在時には沖縄の魔法にかかっている。その間にオリオンブラントに接することで、沖縄での良い体験がイコールオリオンビールのイメージになっている」と分析した。こうした利点を最大限に生かすために、本土ではほとんどマーケティング活動を行わず、沖縄県で、県民に支持されるブランドであることを大切にしている。

イメージ 沖縄滞在時の魔法の時間が、最高のブランド体験を提供についてのスライド

沖縄県内でナンバーワンを維持し、その地位を強化するために取り組んでいることとして、以下の3つのポイントを挙げた。

1.県内:オリオンビールで圧倒的なNo. 1ポジションをさらに強化
2.県内:県内No. 1企業として、カテゴリーの成長を促進する
3.県外:沖縄でのマジックモーメントを“たまぁ〜に”思い出してもらう

湖東氏は「大手4社のまねをしても仕方がないので、沖縄に拠点を持つ我々だからこそできることという独自性と新規性を追求していくこと。これが今、我々が考えていることです」と述べた。


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