電通と博報堂がプライバシーテック協会に加盟 広告業界におけるデータ保護技術の重要性

広告業界においてもプライバシーの保護が重要だと指摘した博報堂DYホールディングスの西村氏

坂下氏は「日本は人口減少によって市場が縮退し、ビジネスでは個人の需要に合わせた展開が必要になる。需要を把握するためにはパーソナルデータの分析が必要で、データ保護や管理のためのプライバシーテックが注目されている」と指摘。一方でプライバシーテックは単なるテクノロジーで、「組織がマネジメントする必要がある。1社だけでなく、業界が集まって議論することが大切だ」と話し、同協会はその議論の場を提供するうえで重要だと強調した。

若目田氏は日本におけるプライバシーテックについて「個社のDXは進んでいるが、業界でデータを共有することが進んでいないと認識している」という。その理由として、個人情報の保護法制が複雑になっていること、集めたデータを共有する判断を経営サイドができないケースに触れた。「プライバシーテックはプライバシー保護だけでなく、積極的にデータを活用するためのツールであるという観点が必要。特別会員として連携しながら社会実装に向けて努めていきたい」と意気込みを語った。

電通データ・テクノロジーセンター次世代テクノロジー開発部長の丸山裕史氏は「広告業界で協調する領域を作っていくだけでなく、業界の垣根を越えてデータを安全に利活用する必要がある」と指摘した。

博報堂DYホールディングスのマーケティング・テクノロジー・センターの西村啓太室長補佐は「協会が進めている技術研究を実務に生かし、データを活用した安心安全なビジネスを模索していくために加盟した」と参加理由を説明。「広告業界においては生活者データを扱うのがビジネスの根幹。テクノロジーを活用してプライバシーを担保することが前提条件だ」と話した。

広告業界におけるプライバシーテックについて、西村氏は「デジタル広告においてはデータ連携が重要になってきている。連携の際に、他社のデータが同意を取れているのか、取れている場合でも適切に加工し、プライバシーに配慮をした上で利活用を進めていく必要がある」と話した。

プライバシーテック協会は2022年8月24日に設立。会長はAcompanyCEOの高橋亮祐氏。理事はEAGLYS社長の今林広樹氏、LayerX事業部執行役員AI・LLM事業部長の中村龍矢氏。賛助会員7社、特別会員2団体などが所属する。

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