インハウスで続ける、SNSやコミュニティを運用するコツ

また、運用目的やユーザーが自社アカウントをフォローする理由を明確し、コンセプトを決定することも、継続的に効果的な投稿を行うためには重要だという。そして運用においては、チームで取り組むことを推奨している。

「チームで投稿の相互チェックを行うことで、不適切な投稿の防止につながります。また、SNS運用における悩みや課題は、SNS運用を行っていない人には伝わりづらいように思います。そうした問題を気軽に話し合える環境を作るという意味でも、チームでの運用をおすすめしています。上司にも味方になってもらえると、さらによいですね」(武市氏)

日々の運用では、投稿内容とその反応をこまめに振り返り、検証を続けていくことが重要だ。SNS運用は短期的に効果が出ることは稀で、長期的な視点で向き合わなくてはならない施策だ。その成功には、「丁寧で愚直な運用を続けることと、すぐに結果が出なくとも必要以上に落ち込まないマインドセットが大切だ」と述べた。

SNSで築いた関係性をもとにコミュニティ運営へ

コミュニティ運営については、「いきなりコミュニティを立ち上げるのはおすすめできない」と指摘する。まず顧客との相互コミュニケーションを行い、それを基盤にはじめるのがよいという。顧客との関係性ができていない場合、集客に苦労する可能性があるだけでなく、コミュニティの目的設定も難しいためだ。

スクリーンショット イベント ウェビナー 宣伝会議サミット2024夏

顧客との関係性が一定構築でき、コミュニティ運営ができる状態となったら、まず目的設定を行う。そしてその目的に応じて、SNSのDMや公募でメンバーを集める。その後、顔合わせへと進んでいく。

この顔合わせのフェーズにおいて、武市氏は個別ヒアリングを行うこともあるという。オンラインで30分〜1時間程度、一対一で参加者の興味や期待を詳しく聞く。学生の場合は、保護者の同席もOKと伝えることもある。このようにして、参加者との信頼関係を構築し、親密度を高めていく。

そしていよいよ申し込みとなるが、この際、コミュニティ内で未発表の商品情報を展開することもあるため、秘密保持誓約を結んだ上で加入してもらっているという。こうしてメンバーが確定したのち、コミュニティとしての関係性をつくるべく、緩やかな相互理解のためのキックオフを行う。

「ここで、顔合わせフェーズで行ったヒアリングが活きてきます。物怖じしないタイプなのか、落ち着いた性格なのかなどの一人ひとりの特性に合わせて、自己紹介で当てる順番を変えたり、場の空気作りを工夫したりしながら、緩やかにお互いを知れる時間としています」(武市氏)

コミュニティが本格的に始動したあとは、オンラインでの定例イベントのほか、リアルでのミーティングやファンミーティングなどの特別イベントも定期的に開催し、より深い関係性を築いていったのだという。

最後に「こうした取り組みを成功させるためには、上司と同僚の巻き込みが欠かせない」と述べた。同社では、SNSのアンケート機能で集まった回答を上司に見せたり、ヒアリングやファンミーティングに同席してもらったりすることで、SNS運用をさらに応援してくれるようになったという。

同僚に対しては、生活者の声を聞ける仕組みの整備、部内でのSNS勉強会の開催などを通じて、当事者意識を高めている。

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武市 陽子 氏

コクヨ
グローバルステーショナリー事業本部 ダイレクトマーケティング部

新卒から現在に至るまでユーザーコミュニケーションを専門領域として、InstagramやX、文具クチコミアプリ、ファンミーティングなどの運用を担当。顧客接点を活用しつつ非文具ファンにも文具の価値を伝えるべく、昨年末には学生共創でオフラインイベントを開催し1000人を動員。たぶんコクヨで一番学生の声をきいている人。

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