小学生向けの学習参考書が、シニア層にもヒット
ダイヤモンド社が2022年12月に発売した小学生向けの学習参考書『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』が、63万部(電子書籍を除く)を売り上げ、2023年の年間ベストセラーで総合売上1位に輝いた。
学習参考書と呼ばれるジャンルの書籍が年間総合1位、つまり日本で一番売れた本となるのは、史上初(日販調べ)という快挙だ。メインターゲットは小学生だったが、60代以上のシニア層からも大きな反響があり、それもまた売り上げを押し上げた。
『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』(左)と『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本 計算の達人編』(いずれもダイヤモンド社刊)
『19×19までかんぺきに暗算できる本』のコンセプトは、小学生が1日で19×19まで暗算できるようになること。小学3年生をメインの読者に据え、階的に学習を進めることができるよう、スモールステップと呼ばれる構成手法を用いた。カバーのデザインは、読者となる小学生にヒアリングをして、小学生が面白そう、楽しそうと感じるものを選定した。
「一応、大人が頭の体操のために購入するという需要もあるだろうとは考えていましたが、第一には小学生のお子さんが楽しめるものにしようと考えていました。つまり、あくまでも子どもファーストで進めていったのです」
しかし蓋を開けると、全体の購買者に対して60代以上が占める割合は32%と、購買者の3割がシニア層であることがわかった。小学生向けに徹底して制作した書籍が、なぜこれほどまでに60代以上のシニア層にも支持されたのか。読者ハガキを読み込むと、あることに気づいた。
「60代以上の方もご自身のためにご購入いただいていて、小学生と同様にとても満足度が高かった。そのため、小学生のお子さんにも60代以上の方にも、同じ需要があるのではないかと考えたのです」