スタートアップ企業の広報に聞いた「転機となった企画」⓶

カウシェ

物価上昇時代を救う!節約サービス大集合イベント
実施時期：2023年3 月　
目的：続く物価上昇に悩む一般の方向けに、新たな節約方法を紹介することを目的として実施　
ターゲット：主婦の方をはじめとする節約に関心のある生活者

消費者物価指数の発表に合わせ　4社共同で時事性の高いイベント
当社は、友達や家族とコミュニケーションを取りながら、楽しくお得に商品を購入することができるお買い物アプリ「カウシェ」を運営。物価上昇の報道が増加する中、総務省の「消費者物価指数」発表日に合わせて、主婦をはじめとする生活者を招いたイベントをスタートアップ4社で実施した。物価高や節約のトレンドに加え、政府からの公式発表日に合わせたことによる時事性や、1社だけでなく節約にまつわるサービスを展開する企業と合同で実施することによる報道観点での公平性、アプリを利用する主婦の方への直接取材を可能にしたことが工夫点。NHKと民放1局にて放送され、アプリの新規利用者が増加した。

大塚早葉氏

コミュニケーション本部 執行役員

おおつか・さよ　早稲田大学卒業後、丸紅にて国際貿易に従事。スタートアップ業界に転身しメルカリで広報の経験を積む。2022年カウシェ入社、2023年10月より現職。

CureApp

塩対応食堂
実施時期：2024年5 月　
目的：高血圧治療領域における治療アプリの存在の認知獲得、消費者向けの広告規制緩和のタイミングを活かした
市場形成　ターゲット：国内の高血圧患者とその家族、および高血圧症の未治療者

減塩対応とかけたアプリ体験企画　「塩対応食堂」で民放3局放送
当社は世界初の高血圧症のための保険適用の治療アプリを開発。薬頼みだった高血圧症治療において、医師の指導のもとでアプリを通して生活習慣を改善し、高血圧症の要因から治療する治療法として2022年に市場投入した。2023年3月末、正しい情報提供のために一般消費者向けの広告規制が緩和。商品名での広告が可能になったため、国内初の治療アプリ体験リアルイベント「塩対応食堂」を実施。冷たい対応の“塩対応” と、減塩対応する“塩対応” という、あえて誤認を誘発するネーミングにより、本質的な意味を知った際の納得感を演出。アプリ体験者に減塩した“塩対応” の食事をふるまった。民放3局で放送。前月比166%の処方実績。

雨谷亮太氏

広報PR部 部長

あまがい・りょうた　コスメ、リテール業界で広告宣伝・広報PRに従事。2023年入社時より現職。

スタディスト

ユーザー応募型で好事例を発掘!「Teachme Biz Award」
実施時期：2022年11月～毎年実施　
目的：特に優れた成果をあげているユーザーの表彰を通じたエンゲージメント向上、埋もれている良い事例の発掘　
ターゲット：既存ユーザー、メディア

表彰式で優れたユーザーを発掘　受賞企業の事例がメディア露出
主力事業のマニュアル作成・共有システム「TeachmeBiz」の利用企業は2000社を超える。事業部からの情報以外にも良いユーザーを見つけ出しメディアに提案できる状態をつくるべく、ユーザー応募型の表彰制度を立ち上げた。2022、2023年共に表彰式を山場とする打ち上げ花火的施策ではなく、継続的な発信につなげることを目的とした。1社につき数千字におよぶエントリーシートによる一次審査、面談式の二次審査を経て受賞企業を決定。結果として自力では見つけることのできなかった好事例が多く集まり、受賞企業の事例は専門誌や地方紙、「日経ビジネス電子版」など多くのメディア露出を獲得、問い合わせにもつながった。

朝倉慶子氏

広報室 室長

あさくら・けいこ　インクス（現：SOLIZE）での新規事業責任者、リクルートでの渉外職を経て、2015年に広報未経験でスタディストに入社。2020年より現職。

天地人

プレスキット（ファクトブック）の作成
実施時期：2022年9 月　
目的：天地人や宇宙業界の理解促進。宇宙という、用語が難しく分かりにくい業界の解説　ターゲット：メディア

業界を把握できるプレスキットで　宇宙業界の理解促進に貢献
3カ月以上かけて当社のあらゆる要素を出し切り作成。自社情報だけでなく宇宙業界の説明も加え、業界の全体像が把握できるものに。地味な施策だが、 宇宙業界のような用語が難しく構造が分かりにくい業界では、このようなプレスキットがあるとないとではメディアの皆さまの理解の程度が変わる（露出時の質が変わる）と考えている。また、取材時の活用だけでなく「整理することで強みが改めて分かる」「新入社員や中途入社社員への説明資料」「自社コンテンツへの流用」など副次効果も大きい。一度つくれば秘伝のタレのように付け足しが可能なのも良い点。ポイントはメディアの方に渡すとはいえ、想定読者を考え作成することだと考えている。

砂流恵介氏

PR 広報マネージャー

すながれ・けいすけ　宇宙を広報する永遠の後輩。広報・ライター・カメラマン。宣伝会議「デジタル広報基礎講座」の講師。

特集ではこのほか、106社にわたる多様なスタートアップ企業の広報企画を紹介しています。
『広報会議』9月号(8月1日発売予定)をご覧いただき、自社の企画づくりの参考にして下さい。