小さなコミュニケーションの積み重ねが欠かせない
アース隊のX以外の活動についても紹介した。ドラッグストアショーのイベントブースのデザインにキャラクターが採用された際は、フォロワーが現地を見学に来たり、SNSへ投稿したりすることによってオフラインからオンラインへの流れも生まれたという。
ほかにもユニクロや、カシオ計算機の時計ブランド「G-SHOCK」、奈良健康ランド、キーボードアプリ「Simeji」などとのコラボレーションも実施している。ゲーミングPCメーカーOMENとのコラボは、アース製薬がeスポーツに取り組んでいることがきっかけとなり実現した。
アース隊は公式YouTubeチャンネル「アース製薬情報局」内でも活動しており、動画ではVTuber「天羽しろっぷ」とのコラボ企画でゲーム配信も行っている。成田氏は「VTuberとのコラボはアース隊長というキャラクターとも親和性があり、新規のフォロワー層を生み出しています。既存のフォロワーは商品購入層でもある主婦が多くVTuberは若年層にファンが多い。新しいファン層の生み出し方を意図したコラボで、非常に好評です」と手応えを述べた。
まとめとしてアース隊によるファンマーケティングの実践から見えてきたポイントを三点挙げた。
まずは「SNSを中心として積極的にコミュニケーションを図りコアファン化につなげる」こと。XをはじめSNSの特徴はユーザーと直接コミュニケーションを取ることができる点にある。成田氏は「キャラクターをつくって、出して終わりではその先のコミュニケーションが生まれないところに課題がある。キャラクターを使ってフォロワーとコミュニケーションできる企画や、投稿自体にキャラクターを登場させ、親近感を覚えてもらうようにしています」と自身の工夫についても解説した。実際、アース隊誕生をきっかけにUGCが発生し、グッズやオフラインでの活用にもつながり、新しいファン獲得に貢献している。
2点目は、横展開への積極的なチャレンジだ。成田氏は「イベント実施やグッズ化は、それによる収益化よりも、キャラクターをさらに踏み込んで身近に感じてもらうシチュエーションを用意することが大事」と話す。協賛する女子サッカーWEリーグのINAC神戸の試合時はブースにいることをSNSで告知すると、コミュニティのメンバーが来訪し交流が生まれたりもしているという。
3点目は、ファンを大切にすることだ。「毎日リプライやリポストをしてくれる人のおかげで投稿が話題化し、トレンドに載るようになります。ファンの皆さんが何を求めているのか、そのためのコミュニケーションを疎かにしないように心がけています」(成田氏)
最後に今後について、全国のファンに届けられるようなグッズの展開についても触れた。「アース隊とファンの日常のタッチポイントを、グッズの展開という形で実現し、ファンの希望を叶えたい」(成田氏)。
視聴者に向けてもアース隊をフォローしコミュニティの実態に触れてほしいと話し、講演を締めた。
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