データ基点のマーケティング組織改革 3つのポイント

三井住友海上火災保険のCMOである木田浩理氏が6月24日~7月1日に開かれた「宣伝会議サミット2024夏」に登壇し、「データ×現場視点こそが顧客理解のカギ。顧客解像度を劇的に高めてマーケティング変革に挑む、三井住友海上の挑戦」をテーマに講演した。

調査データや現場議論をもとに、顧客目線のCMを制作

最初に、「そこに、人がいる」をテーマにした自動車保険のテレビCMを紹介した。

「このCMで訴えたいのは、『現場や代理店の思い』。当社の強みは『人がそばにいること』。それは全国に支店があるのでお客さまのすぐ近くで寄り添える人がいることを意味する。三井住友海上は、事故や災害に遭ったお客さまを身近で支えていきたい、そのような現場の思いを顧客に伝えているのがこのCMです」(木田氏)

CM制作にあたり、全国の代理店や現場の営業担当、事故対応担当者と議論を重ねてきた。それらの意見に加え、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)のデータも掛け合わせてできたのがCMのコンセプト「そこに、人がいる」だ。

また、CMの訴求内容を決めるにあたって、ファネルごとに商品ファクトの訴求力を調査。その結果、自動車保険の基本である「事故の対応力」、インターネットで契約する通販型とは違う、代理店型の強みである「人」がそこにいるということ、そして同社の強みであるドライブレコーダーやAIなどの「テクノロジーを生かした保険」をCMの訴求要素とした。

結果、このCMに変えてから資料請求数は153%、YouTubeでは視聴完了率141%、クリック率260% という大幅な伸びを得たという。

データ×現場視点による組織改革

以前のCMは、専門スキルを有する社員がいなかったため、特定のクリエイティブや単発の動画の繰り返しで、訴求要素がぶれることもよくあったという。木田氏は、「データ×現場視点を重視する組織への改革を進めてきた。今回のCMはこの改革があってこそ実現できた」と振り返る。
木田氏が行った組織改革のための取り組みは ①スモールサクセスを積み重ねて信頼を得る ②データを共通言語にする ③周囲を自分ごと化させて巻き込む、の3点だ。

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