①スモールサクセスを積み重ねる
データサイエンティストとして木田氏はまず、データの領域の改革からスタートした。他部署社員からの分析要請に対して単に分析結果を返すのではなく、マーケティング要素を加味し実際にビジネスに生かせるアウトプットを提供したことで、徐々に社員にマーケティング分析の重要性が認識されていったという。そのような社内の認識変化の流れを経て3年前にマーケティング組織を立ち上げた。「全社を巻き込んで変革を起こすには、やはり社内の風土改革が大事。そして、それを支えていくのは人なので、次の課題は人材育成になる。順を追って進めていくと、社内の理解が得られやすい」(木田氏)
②データを共通言語として示す
企業の中には、意思決定者、本社担当者、現場担当者など様々なステークホルダーが存在し、立場ごとに重視する点や問題意識が異なるため、何か一つ共通のキーを用意して意志を統一する必要がある。同社では、マーケティング組織を組成した時点でCDPをつくり、そこに集めた社内データを共通言語とすることで、さまざまな戦略や施策の検討を進めてきた。
③周囲を自分ごと化させて巻き込む
データを共通言語化した後には、各プロジェクトに社員を「自分ごと化させて巻き込む」ことが重要になる。「いかにデータと現場をうまくつないでプロジェクトを進めていくかを考えた結果、『ビジネストランスレーターの存在が必要である』という結論に至った」と木田氏。ビジネストランスレーターとは、分析の専門人財や現場営業・経営者など様々な関係者を正しく巻き込む人材であり、データ分析をビジネス成果につなげる役割を担うほか、社内の組織改革においても非常に有効な人材であるという。同社では3年間で1000人以上のビジネストランスレーターを育成。ビジネストランスレーターの4つのスキルを用いて社内の様々な課題の解決に取り組んでいる。