デロイト トーマツ グループは7月30日、消費者の価値観・マインド、購買行動の決定要因などを調査した2024年度「国内消費者意識・購買行動調査」を公開した。本レポートは、2024年4月に全国20歳~79歳の男女5,000人を対象に行ったWebアンケート「国内消費者意識・購買行動調査」から得た回答結果をもとに作成された。
デロイト トーマツは全調査結果を通じて、消費者の購買意欲は拡大の傾向にあるが、物価高の影響による「コスパ」「メリハリ」「節約」を意識した価値観への変化がうかがえると分析している。
本レポートの具体的な結果・分析は、以下の通り。
世帯年収1000万以上の生活者、節約志向上昇
「この数年で変化した価値観」についての質問では、約3割弱が「コストパフォーマンスを意識するようになった」「節約と贅沢のメリハリをつけるようになった」と回答。ここから同社は、昨年に続き経済的側面に対してのシビアさは強い傾向にあると分析している。
図表1:価値観の変化
また、世帯年収が少ないほど、「節約志向が高まり、より低価格なものを購入するようになった」という回答が高い傾向にあるとわかった。この結果は、昨年とほぼ変化はないものの、高所得層(600~1,000万円、1,000万円以上)においても昨年調査(13.9%)より回答割合が増加(16.6%)していることから、全体的に節約志向が高まっていることがうかがえたという。
この結果からデロイトは、企業は消費者の購買行動の変化を考慮したうえで、消費者需要を取り込む商品・サービス開発やマーケティング施策を検討する必要があるのではないかと、分析している。
約7割が「サステナビリティを意識して商品を選択していない」
サステナビリティの言葉や、その意味の認知度は年々向上の傾向にあるものの、「興味・関心がある」の回答は約4割と横ばい。興味・関心の回答を性別・世代別にみると、60~70代の女性、続いて60~70代の男性、40~50代の女性の順番で比較的多い傾向にあった。
また商品購入時に「サステナビリティを意識して商品を選択している」の回答が、各商品カテゴリでわずかに増加。しかし一方で、約7割が「サステナビリティを意識して商品を選択していない」と回答。その理由として、2割以上が「サステナビリティを意識した商品がわからない」と回答した。
図表2:サステナビリティへの関心と消費行動
「サステナビリティに関して取り組みを行っている企業に対する意識」では、63.6%が「サステナビリティに取り組む企業を応援したい」と回答。その一方で、実際にその企業の商品やサービス購入に至る人は14.6%だった。つまり、残りの約7割にあたる49%が「サステナビリティに取り組む企業を応援したいが、商品購入やサービス利用まで至らない」と回答。昨年と大きな変化は見られない結果となった。
性別・年代別で見ると、女性の各世代では「応援したいと思い、その企業の商品購入やサービスを積極的に利用したい」の回答が増加傾向。特に女性の60~70代では、約2割が「応援し、商品やサービスを利用する」と回答した。
「応援したいと思わない」「興味がない」理由の上位は、「役に立つと思わないから」「実態が伴わず上辺だけの取り組みに感じてしまうから」などサステナビリティへの取り組み自体への意義を感じられないことが挙げられたという。
さらに本レポートでは、消費者が企業のサステナビリティの取り組みを食品ロス低減の値下げ、リサイクルBOXの設置といった店頭での具体策を見て評価する傾向も示される結果に。このことから、企業は消費者がサステナビリティの重要性や自社の取り組みに共感し、購買に至るまでの施策を検討する必要があるのではないか、としている。
図表3:サステナビリティに取り組む企業への意識
外食、旅行などの「外向き消費」活発化
「消費金額が増えた/大幅に増えた」との回答は、昨年と比較してすべての商品カテゴリで拡大。中でも、外向き消費である「外食」は15.1%(前年比2.3ポイント増)、「旅行」は14.5%(同2.1ポイント増)。なおかつ、全ての年代でこれらの消費が活発化していることがわかった。
一方、消費金額の増減の理由としては昨年に引き続き「物価高騰」が上位を占有。特に「食料品」「日用品」などの生活必需品においては、相次ぐ値上げによって消費金額が増加していると考えられるという。また、各カテゴリにおいては回答者の1~3割が「消費金額が減った/大幅に減った」と回答していることから、消費を控える傾向は依然として続いているとも分析されている。
図表4:商品カテゴリ別 昨年と比較した消費金額の変化