他業種の家電ビジネス参入増 「ボランタリーチェーン」による「構造改革」、コスモス ・ベリーズ

量販店の「仕入れ力」と町の電器店の「地域密着力」で課題解決

家電量販店と町の電器店がお互いの長所を生かして電機業界を盛り上げている。その仲介を果たしているのが、全国の町の電器店が加盟する「ボランタリーチェーン」を展開する「コスモス・ベリーズ」(名古屋市名東区)だ。量販店の仕入れ力と町の電器店の地域密着経営を組み合わせた「構造改革」を支援する。本部統制が強いフランチャイズと異なり、加盟店の特性を発揮しやすい「ボランタリーチェーン」の役割について、同社の牧野達社長に話を聞いた。

写真 「コスモス・ベリーズ碧南店」(愛知県・碧南市)

他業態からの加盟も増えている「コスモス・ベリーズ」。画像は「コスモス・ベリーズ碧南店」(愛知県・碧南市)

1972年創業の町の電器店「豊栄家電」を前身とするコスモス・ベリーズは、2005年にヤマダデンキとの合弁会社として設立した。月額1万円(税別)で加盟でき、店舗や倉庫を持たなくても商品をWeb発注できる。加盟店が使用するチラシなどの販促物や情報の提供も行う。加盟店は2024年6月末時点で3513店。町の電器店だけでなく他業態の加盟も増えている。

様々な業種・業態が家電ビジネスに新規参入するために同チェーンに加盟している。最近では訪問介護サービスの加盟例が増加。外出困難な高齢者のためのサービスを提供する中で、家電製品を扱えるようにすることで、電球切れや生活家電の故障にも対応できるようにする狙いがある。

同チェーンは、ヤマダウェブコムの在庫を利用して中型・小型家電を配送するシステム「ヤマダ宅配」を提供。スマホ端末を使ってその場で商品を発注できるため、訪問先でもその場で商品について解説し、顧客が納得したうえで注文できる。洗剤やシャンプーなど日用品も発注できるため、幅広い課題に対応可能だ。

「ヤマダ宅配」は昨年1月にテストスタート。当初はファクスでの発注のみだったが、今年3月からシステム化によってパソコンやスマホから24時間発注可能になった。その場で在庫や納期を確認できるため、顧客に納品日などを伝えやすいメリットもあり、利用店が飛躍的に増加した。今年11月から年末にかけて冷蔵庫などの大型家電も発注できるようにする考えだ。

「ヤマダ宅配」は顧客宅への商品配達から設置作業まで、ヤマダの業者が有料で担うため、加盟店の負担軽減にもつながる。この仕組みが町の電器店の「構造改革」のきっかけになるとしている。


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