他業種の家電ビジネス参入増 「ボランタリーチェーン」による「構造改革」、コスモス ・ベリーズ

高齢化で重要性を増す地域密着店

写真 人物 町の電器店の「構造改革」を推進する牧野社長

町の電器店の「構造改革」を推進する牧野社長

社会の高齢化によって買い物が困難な高齢者が増えることで、牧野社長は「町の電器店のような地域密着型の中小企業の重要性はますます高まる」と話す。一方、中小企業の課題は人手不足と社員の高齢化だ。町の電器店では商談、配達、設置、アフターサービスまで全て自前で行っているため、仕事量の多さが問題となっている。

配達・設置業務をヤマダ宅配が担うことにより、町の電器店は商談とアフターサービスに専念できる。きめ細かなフォロー力といった電器店独自の強みをより発揮できるほか、重労働の軽減による働き方改革にもつながり、新入社員の獲得も期待できる。営業活動に力を入れることで新規客の獲得にもつながるとしている。

家電販売店のシェアは、1967年当時は町の電器店が86%だったが、2015年には7.6%まで縮小。同社は、現在は5%程度と推測する。店舗数は1982年には約7万1000店だったが、2018年には1万8000店に減少。電器商業組合の加盟店の減少具合から、直近では1万2000店を切っているとみている。物販をやめ、工事主体になった店舗も多い。

町の電器店の減少理由は、高齢化と人手不足だとしている。一方で、要因として挙げられやすい家電量販店の台頭については、早期に客層のすみ分けが完了していたとしており、あまり問題ではなかったとしている。量販店は価格や品ぞろえ重視の若年層、町の電器店にはアフターサービスを重視する高齢層で区分けされていたという。現在では量販店の客層も高齢化し、町の電器店に再び戻ってくる「逆流現象」も見られる。

これらの現状を踏まえ、町の電器店と家電量販店がそれぞれの強みを生かして、互いの利益を確保する動きが強まっている。ヤマダ宅配のメリットは町の電器店だけでなく、ヤマダデンキも享受。配送業者の仕事が増えるだけでなく、ヤマダHDの専売商品を加盟店を通じて販売できるメリットもある。

新築リフォームなどを扱う「ヤマダホームズ」の顧客を加盟店が紹介する制度もあり、加盟店は手数料、ヤマダグループは案件獲得につながる。

現在、ヤマダグループが力を入れているリユース商品の販売を始めとする循環型ビジネスにおいても、将来的に加盟店がリユース商品を販売できるようにすることで貢献したい考えだ。

牧野社長は「電器店が発展していくためには『新しい地域密着店の創造と調整』が必要」と話す。構造改革によって様々な業種で地域密着店を生み出すことで、結果的に日本の地域社会に貢献したい考えを示した。昨年から「加盟店開発部」を「加盟店推進部」に変更し、関東や東海など5つのエリアに担当者を配置するエリア制に移行。より加盟店に寄り添う方針に変わり、加盟店同士や本部との交流によって情報共有を促す「エリア交流会」を全国で実施している。

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