電通の消費者研究プロジェクトチーム「DENTSU DESIRE DESIGN」は7月31日、消費者の消費に対する欲望の増減を予測する「欲望未来指数」の最新版を発表した。「DENTSU DESIRE DESIGN」は、人間の消費行動に強く影響を及ぼすドライバーとなる感情を「欲望」と定義し、消費者が消費に至るまでの動機や行動を研究するプロジェクト。
今回最新版が発表された「欲望未来指数」は、同チームが2021年から実施している「心が動く消費調査」をもとに、物価や景気、経済状況といった外的要因ではなく、「欲しい・したい」という消費者の気持ちの増減を可視化したもの。現代の消費者がもつ43種の「根源的欲求」と75種の「価値観基盤」、また「これから欲しいもの・したいこと」といった消費につながる具体的な意欲をもとに算出している。
なお、前回から15〜19歳を調査対象者に追加。そのため、2023年5月以前の結果は参考数値となっている。また、3月に発表した「11の欲望」のリニューアルをふまえ、過去の「欲望未来指数」についても見直しを行ったうえで、算出を行った。
参考記事
電通の同チームによると、今回は調査開始から初めて「欲望未来指数」が大幅に減少。具体的には、「欲望未来指数」は前回調査(2023年11月)と比較して34.7ポイント減少。225.0という数値になった。
「欲望未来指数」の推移
指数を構成する「11の欲望」のうち、今回は9つの欲望が減少。その要因は、日本経済の先行きが不透明ながらも、金利上昇、円安、生活コストの負担増など不安要素が複数ある状況において、消費者が消費意欲を抑えようとしていることが推察されるという。
その9つの中でも特に、「無理のない自由への欲望」「心身平常運転の欲望」が大幅に減少。いずれも日常生活における重要な欲望だが、電通は、この2つの欲望が大きく減少した要因は、リベンジ消費をはじめとした新型コロナウイルス感染症の反動から消費者が落ち着きを取り戻したのではないかと分析。欲望の潮目が大きく変わろうとしているのではないかと考えているという。
2024年5月調査における「欲望未来指数」と「11の欲望」
「11の欲望」それぞれは、全て2022年11月よりもポイントが高い結果となっているものの、「これから欲しいもの・したいこと」といった消費につながる具体的な意欲が低い状況。消費者は、欲望を満たしてくれる「もの・こと」との出会いを求めていると推察している。一方、「欲望未来指数」は2022年11月と同水準となった。
「11の欲望」の推移