【前回はこちら】パーパスの実現につながる、「江崎グリコらしい」DX
ある新聞記事をきっかけに編集者を志す
━━佐賀の出身で、大学も地元だったと伺いました。
佐賀大学の理工学部数学科に実家から通っていました。父が教師だった影響で、大学時代には数学の教員になることも考えていて、中学・高校の教員免許を取りました。
ところが、東京で放送作家をしていた方が同じ学科にいて、彼が仕事で経験してきた話がすごく面白くて。すっかり感化され、自分ももっと広い世界でいろんな経験をしたいと思うようになりました。
ヤマップ 執行役員 安全推進事業部長 小野寺洋(おのでら・ひろし)氏
1997年に佐賀大学理工学部数学科を卒業後、ベネッセグループの編集プロダクションに入社。『進研ゼミ』などの教材編集、販売営業に携わる。2003年、広告制作のジェリーフィッシュへ転職。化粧品通販のJIMOS、ネスレ日本、協和などでダイレクトマーケティングの経験を積んだのち、2019年にヤマップ入社。登山保険事業、PR強化などに携わる。2022年より執行役員。
実は、彼と出会う前からマスコミ業界には興味がありました。きっかけは、大学2年生の時。引退した競走馬「オグリキャップ」について書かれた新聞記事を読んで、オグリに会いたい衝動に駆られ、彼が種牡馬として第二の生活を送っていた北海道・新冠まで行きました。それも、2度も。1000字にも満たない小さな記事で人が動くのはすごいことだなと。そこで、人を動かす、それも良い方向に動かす仕事をしてみたいと思うようになりました。
━━そしてベネッセグループに編集者として就職をしたのですね。
ベネッセグループの編集プロダクション(現在はベネッセコーポレーションに合併)に教材編集者として入社しました。競馬新聞の会社もいいなと思ったのですが、せっかく学んだ数学の知識を生かしたくて。それに、教育への興味もありました。大学受験は18歳の受験生にとって人生最大の関心事。教材をもっとわかりやすい表現に変えられれば、青春をかけて精一杯取り組んでいる受験生たちを、良い方向に導くことができるんじゃないかと思ったんです。
実はラジオ局からも内定をもらっていました。でも、私はやっぱり文字で人を動かしたかった。それだけ、あの新聞記事のインパクトが大きかったんですね。