①「ターゲット」
誰に対して情報を届けたいのか、あるいは誰とコミュニケーションを取りたいのかを考えましょう。自社サービスの既存顧客、潜在層、求職者、等々です(具体的であればあるほど良し)。
SNSサービスごとに、ユーザーの属性は大きく異なります。そのため、例えば「大卒就活生向けに情報発信したい」という意図があった場合、若年層ユーザーが多く利用するSNSをプラットフォームとして選ぶ必要があります。ここの狙いが不明確なままスタートしてしまうと、以降の運用すべてが徒労で終わる可能性があるので要注意です。
またSNS上では日々膨大な情報が飛び交っており、ユーザーはその中で自分に合った情報を取捨選択しながら過ごしています。受け取り手の顔がイメージできるレベルでターゲット像を可視化できると、情報をしっかり受け取ってもらいやすくなります。
②「メッセージ」
①に対して何を伝えたいのか、どう理解してほしいのか。前述のとおりSNSはコミュニケーションツールなので、「伝えたいこと」を明確にする必要があります。運用を行っているが成果が出ない、という場合、ここの「伝えたいこと」の解像度が低いことが多いです。デジタルプロモーションだからと難しく考えず、ターゲットの方が目の前にいるとしたらなんと伝えるか、をイメージすると、考えやすいかと思います。
③「コンテンツ」
発信に使える既存素材(文章、画像、動画など)があるか。SNS運用は継続的に取り組む必要があるマラソンのような施策なので、コンテンツのネタ切れが運用上の課題となることが多いです。それらの対処法として、既に社内にある撮影画像や、既存の広告向けクリエイティブ、社内報向けの原稿などを、SNS運用のコンテンツとして流用することが挙げられます。せっかく使えるモノがあるなら使った方が省エネできる、という発想です。まずは一度洗い出してみましょう。
④「体制」
最後に、運用の体制についてです。私は以前から、SNS運用の成果の8割は「担当者選定」にかかっている、と思っています。ほとんどの会社の場合、SNS運用に専任の担当者を設置することはリソース上難しいですが、SNSに慣れている若手の方等がアサインできれば、比較的効率良く運用を行うことができます。
社内で適任者が見つからない場合、リソースが足りない場合は、SNS運用代行を行う外部のパートナー企業に業務依頼することも有効です。
こういった具合で、SNSの運用方針を考える前に、①②③④の観点を整理し、取りうる選択肢の幅を確認しておくと以降がスムーズです。
各SNSの特徴とメリット・デメリット
それでは最後に、主要SNSの特徴をざっくりご紹介します。
具体的な事例は今後の連載でご紹介していきますが、こちらに記載しているSNS(+ブログメディア、動画メディア)が、メディア選定における主要な選択肢となります。それぞれを活用するメリット(強み)は、好まれる投稿の例や効果的な訴求例を参照してください。
特に企業利用の定番といえばX、Instagram、Facebookが挙げられますが、以下に記載するデメリット部分(弱点)を理解して運用を行っていく必要があります。
■X(Twitter)
リアルタイム性への対応
・時事やトレンドを踏まえた運用ができた方が効果が出やすいが、適応が大変
・ネガティブな反応への即時対応が求められることがある
頻繁なアルゴリズム変更
・投稿の届きやすさ(リーチ)が都度変化するため、継続的な戦略が立てづらい
■Instagram
クリエイティブ制作の負荷が高い
・高品質な画像や動画の制作が求められる
・事業内容によっては、ビジュアル訴求できる素材が確保しづらい
アルゴリズム変更
・フィードアルゴリズムの変動により、オーガニックリーチが減少する可能性がある
■Facebook
若年層の利用が少ない
・10代20代への積極的リーチがしづらい
オーガニックリーチの低下
・アルゴリズムの変更により、オーガニックリーチが減少しており、広告による露出拡大が必要となっている
記載のデメリットは、他SNSとの併用で補い合うことも可能なので、個別のメディアだけで考えず施策全体で捉えるのをオススメします。
第2回は、今回お話しした内容の続きで、SNS運用最大の落とし穴とも言える「ゴール設定」と「KPI設定の方法」について解説していきます。