デジタルマーケティング成功事例 顧客との接点をつくる・増やすために

顧客の属性や行動を把握し、最適なアプローチをするために欠かせない「デジタルマーケティング」。しかし、すでに多くの企業が実践しているため、その効果を高めるためにはユーザーの注目を集める施策が求められる。
そこで本記事は2024年7月に開催された「宣伝会議リージョナルサミット2024夏in 大阪」から、注目セミナーをレポート。ユナイテットアローズの岩井 一紘氏がDX化とOMO(オフラインとオンラインの連携)の取り組みを、アララの中村 京左氏はリピーターを確保するメールマーケティングの手法を紹介した。

OMO推進で「お客様と深く広く繋がる」

高感度なセレクトショップを有する「ユナイテッドアローズ(UA)」。接客力の高さに定評があるUAの店舗スタッフは約2600人 在籍し、売上に大きく貢献している。

ユナイテッドアローズ OMO本部 本部長の岩井氏。オンラインとオフラインを行き来するUAユーザーは、店舗のみ利用の顧客と比べ、LTV(長期的な関係で得られる利益)が圧倒的に高かったと語る。

「店舗のほうが、感動体験を上げることができる」と断言する岩井氏。しかしコロナ禍を経て顧客の購入スタイルが大きく変化した。オンラインで商品を検討してからオフライン(店舗)で購入する顧客が多い現状を踏まえ、OMO(オンラインとオフラインを一体化し、スムーズに行き来できる環境整備)を進めている。OMO推進は顧客の満足度アップや売上向上につながるといい、実際、オンラインとオフラインを行き来するUAユーザーは、店舗のみ利用の顧客と比べ、購買回数が310%、購入金額が340%(ともに前期実績)と、LTV(長期的な関係で得られる利益)が圧倒的に高かった。
ただし、オンラインでの購入も増えてきているとはいえ、売上高の割合でみると店舗:ECサイト=7:3と、店舗での購入が主流だ。実際の接客場面では1.顧客の行動を観察2.購入検討者に適切なアプローチ3.要望や不明点を丁寧にヒアリング4.回答や提案、といった働きかけが必要だが、デジタルではその接客レベルを実現できないという課題があった。
そこで顧客のシグナル(行動・趣向データ)をデジタル上でもキャッチするため、会員向けプログラム「UAクラブ」を刷新した。アプリのインストール、お気に入り商品登録、お店での購入など、顧客はUAとの接点を増やすほどマイルを獲得することができる。この新プログラムにより、アンケート回答は288%、購入後レビューは162%(ともに前年比)と、顧客のデータ取得率が格段にアップした。

OMO推進、販売活動のDX化と走り続けるUAだが、定常業務を減らす取り組みや、デジタル化の意図をスタッフに伝えることも大事だと訴えた。

UAクラブのリニューアルで会員売上が107%(前年比)、純利益もアップするという結果を生み出した。得られた顧客データはデジタル上でのアプローチだけではなく、店舗スタッフの接客支援にも活用する予定だ。
また、UAは店舗スタッフのSNSアカウントと自動連携し、スタイリング投稿を増やすことにも注力している。SNSの投稿経由で商品購入に至ったケースはEC売上の約70%(間接的な売上影響含む)にあたり、新規顧客の開拓にも一役買っている。
OMO推進、販売活動のDX化と走り続けるUAだが、やみくもに進めてはスタッフから理解が得られず、ただ業務量が増えてしまうことにもなりかねない。そのため、定常業務を減らす取り組みや、デジタル化の意図をスタッフに伝えることも大事だと訴えた。

脱ルーティーン化、読ませるメールのコツ

「高速配信」「到達率の高さ」が特徴の、法人向けメール配信サービスを提供するアララ。
中村氏は「LINEやSNSなどのコミュニケーションツールが台頭し、メールが時代遅れというイメージを持つ人もいるが、メールマーケティング市場は成長し続けている」と断言。メールのメリットとして、デザイン性が高く宣伝目的に最適なメッセージが送れる点、LINEに比べてメッセージ送信の費用が安い点、効果測定がしやすい点などを挙げ、現在も人気の販促活動として使われていると説明した。

アララ 営業部カスタマーメールマーケティングユニットリーダーの中村氏。メールが時代遅れというイメージを持つ人もいるが、メールマーケティング市場は成長し続けていると断言。

しかし、利用者が多いメールサービス「Gmail」は2024年、スパムメール対策を強化。1日に5000通以上のメールを送る場合、諸々の条件を満たさなければスパムメールと認識され、はじかれてしまう。ワンクリックでの登録解除の設定、SPF/DKIMへの対応、TLS接続の送信など、さまざまな課題をクリアしなければならず、自社で一から構築するとなると、多くの作業時間と手間がかかってしまう。
そのような課題も背景に、メール配信専門の業者に委託する企業が増えていているという。アララのメール配信システムを導入した保険代理店「東京海上日動パートナーズTOKIO」は、20時間かかっていた作業時間を15分に短縮することに成功。また、レジャー体験の予約サイトを運営している「アソビュー」も作業時間の短縮分を効果測定にまわし、購入件数が昨年の約10倍と飛躍的な業績アップにつながった。
次に、中村氏は効果的なメールマーケティングの手法を説明。メール配信が作業化しないように、まずはKPI(最終的な目標までのプロセスの達成状況を評価する指標)を定め、次に効果測定、そして現状を把握しPDCA(計画、実行、評価、改善)を回していくという一連の取り組みが必要だと訴えた。

開封率を左右する件名は15字以内にとどめ、数字や限定感を出すほか、ターゲットやメリットを示すといった、見たくなる要素を入れることが重要だと指摘。

そして最も重要なポイントが、受信者に読まれるメールを送ることだ。受信者の生活パターンに合わせた配信時間や文章量、そして利用するデバイスに合わせたデザインが求められる。中村氏は、開封率を左右する件名は15字以内にとどめ、数字や限定感を出すほか、ターゲットやメリットを示すといった、見たくなる要素を入れることが重要だと指摘。メールの本文はHTML画像を挿入すると視覚的にわかりやすく、リンク先も目立つためクリック率の向上にもつながるという。
アララでは、これらのポイントをすべて網羅したメール配信が可能だという。「HTMLメール簡単モード」を利用すれば、テンプレートを選択するだけで訴求力の高い画像付きメールを簡単に作れる。また、コンテンツの作成や配信代行まで託せるお任せサービスもある。
コンテンツ内容やリソース不足など、メール配信で悩む企業にとって、アララのような専門業者への委託も一つの解決策になりそうだ。

お問い合せ

アララ株式会社

TEL:03-5414-3611
URL:https://am.arara.com/
Mail:ms-sales@arara.com

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