どのように顧客とタッチポイントを作り、どのようにコミュニケーションを設計していくかは、マーケティング担当者が抱える課題の一つだろう。さらにオンライン・オフラインどちらかに偏らず、上手く掛け合わせたコミュニケーションのあり方を模索している人もいるはずだ。
本記事は2024年7月に開催された「宣伝会議リージョナルサミット2024夏 in 名古屋」から、注目セミナーをレポート。J.フロントリテイリングの島袋 孝一氏は大丸松坂屋、PARCOが実践するデジタル推進を、アトの奈須田 洋平氏、鹿志村 篤史氏は集客を最大化させるポスティングについて紹介した。
時間と場所の制約を超えた顧客体験へ
大丸松坂屋百貨店、PARCOなどの商業施設を展開するJ.フロントリテイリングは、店舗接客、Web接客によって、いつでもどこでも顧客とコミュニケーションができるオムニチャネルプラットフォームを作り上げている。オフラインの価値をオンラインに還元できるよう設計し、現在はアプリによってタッチポイントをデジタル化している。
J.フロントリテイリングの島袋氏。大丸松坂屋百貨店、PARCO などの顧客情報を集めてグループ統合データ基盤を整えることで、各事業会社単体のデータではわからなかった両店舗購買顧客の理解を深めることができたという。
母体が百貨店であるJ.フロントリテイリングは、商品を仕入れる目利き力を大事にしており、コンテンツやメディアにおいてはスタッフなどの「人」を中心とした体系として、「あのスタッフから買いたい」と思えるようなコミュニケーションの設計にしているという。顧客の成長、転勤などのライフイベントに応じてリアル・デジタルで接点を変えながら顧客と関係を維持し、LTVを高めることを目指している 。さらに、大丸松坂屋百貨店、PARCO などの顧客情報を集めてグループ統合データ基盤を整えることで、各事業会社単体のデータではわからなかった両店舗購買顧客の理解を深めることができたという。
顧客の体験価値を最大化させる事例とは
さらなるデジタル推進のために、スタートアップの企業にも出資し、新たなテクノロジーを活用したマーケティングにも取り組んでいる。GINZA SIXでは、VR/AR/MRクリエイティブプラットフォームを提供する 企業STYLY、プロeスポーツチーム「SCARZ」とタッグを組み、ゲームの世界をリアルに拡張したイベントを実施した。また、渋谷パルコでクロスリアリティー(XR)を活用したエアレースを行った。スマホをかざすと、飛行機のレースを見ることができるというものだ。
そして、最後に紹介したのは、「MIRAI HANABI in SHIBUYA PARCO」だ。冬の渋谷の夜空をARの花火が彩るイベントだ。こちらもスマホに表示されるのARやCGと 、会場の照明演出を連動しながら、AR花火に没入できる企画を実施し、デジタルとリアルを組み合わせた、顧客の体験価値を向上させる取り組みを行った。
最後に島袋氏は、「これからも顧客、ビジネスパートナー の皆様と一緒にコミュニティを作ることが増えると思います。この夏、地元愛知の春日井製菓の『おかしなサマースクールin愛知』に 参加しており、こういった機会で顧客とコミュニケーションを作る場を作っています。今後、ぜひ皆さんともこのような機会を作れたらと思います」と締めくくった。
エリアマーケティングを備えたポスティング
ポスティング事業を担うアトは主要都市に支社を展開し、200社以上のアライアンス企業と全国をカバーしているため、最短2週間で全国3200万世帯に配布ができる。ポスティングを中心にアナログ×デジタルを駆使したエリアマーケティングの提案を行っている。
アトの鹿志村氏。昨今ポスティングが注目される理由は、ポスティングにエリアマーケティングの要素が加わり、効果的・効率的に配布できる点と強調する。
鹿志村氏によると、昨今ポスティングが注目される理由は、ポスティングにエリアマーケティングの要素が加わり、効果的・効率的に配布できる点だという。特に人口が密集している都市部でのポスティングの到達率はオフライン媒体の中でも高いようだ。また、帰宅時などのオフタイムの時間にピンポイントで目にしてもらうことができるため、消費活動につながりやすいのだと鹿志村氏は強調する。
効果を上げたポスティング事例
奈須田氏は、事例とその戦略を紹介した。某フィットネスクラブではあえて情報量の多いB3チラシを利用し、数百種類にわたりクリエイティブテストを行い、反響率の向上につなげた。
アトの代表取締役社長 奈須田氏。複数の事例を紹介し、ポスティング実施後、広域商圏のナショナルクライアントの場合、Web集客とは異なる属性のユーザーを獲得できたことをはじめ、成約率、オーガニック検索のCV数が増加したという。
某通販会社はB4サイズの新聞折込チラシをB5サイズにリサイズし、1000万部ずつローテーションで配布することで、費用対効果を上げた。某宅食会社は配達網を活かし、全国でポスティング。DM型クリエイティブにより、反響率を上げたという。某スカウト求人では招待状のようなデザインに、スマホゲームは作中の1シーンを想起させるチラシなど、クリエイティブにもこだわることで反響率を上げたという。
奈須田氏によると、ポスティング実施後、広域商圏のナショナルクライアントの場合、Web集客とは異なる属性のユーザーを獲得できたことをはじめ、成約率、オーガニック検索のCV数が増加したという。多店舗型の狭域商圏の場合、潜在顧客の獲得だけでなく、リピートユーザーの増加、既存顧客の囲い込み、休眠顧客の掘り起こしにも活用できた。
大量投下型ポスティングサービス「MEGAPOS」、企画・制作から分析まで一気通貫型の新パッケージサービス「まるっとMEGA LETTER」を紹介した。富裕層向けポスティングマガジン「yoff(ヨフ)」では、都市の富裕層にリーチできる。
配布前には、顧客データと持ち家比率からターゲット占有率の高いエリアを設定したり、顧客カバー率の高いエリアを優先して配布したりと企業に合わせてターゲットを設定できる。
最後に奈須田氏は、大量投下型ポスティングサービス「MEGAPOS」、企画・制作から分析まで一気通貫型の新パッケージサービス「まるっとMEGA LETTER」を紹介した。富裕層向けポスティングマガジン「yoff(ヨフ)」では、ポスティングではリーチできないタワーマンションの富裕層にリーチできる。
アトの管理体制については、対面形式での面接と実地研修を経て採用したスタッフに対し、リアルタイムで確認ができるGPS管理、抜き打ちでの現地チェックも行っているという。
奈須田氏は、「事例から見られる勝ちパターンを紹介しながら、お客さまの求めるKPIを効果測定しながら伴走出来たらと思います」とまとめた。
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