顧客理解のために本当に必要なコミュニケーションや施策とは?

企業が顧客に支持され続けるためには、顧客理解が欠かせない。また、顧客がいかに長く自社製品を選択しているかを示すLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を高めるため、企業はさまざまな施策を講じるが、果たしてその施策は本当に正しいのだろうか。
本記事は2024年7月に開催された「宣伝会議リージョナルサミット2024夏 in 大阪」から、注目セミナーをレポート。チュチュアンナの西岡 和也氏は従来のCRM施策に留まらないものづくり、店づくり、人づくりの視点で取り組む戦略や施策を、ヤプリの金子 洋平氏はアプリプラットフォーム「Yappli」の最新事例を紹介した。

まずは思い込みではない顧客理解を推進

リアルとデジタルを横断した顧客戦略を担う西岡氏。2023年に刷新したチュチュアンナの企業ミッション「世界中の人々に、喜びと感動を、インナースタイルを通して、創造していく。」に基づき、さまざまな取り組みを実施している。

写真 人物 個人 西岡氏

チュチュアンナ デジタルマーケティング部 シニアマネジャーの西岡氏。思い込みを排除し、顧客の定量・定性データをしっかりと活用することを重視している。

1つは顧客層を広げたものづくりに取り組み、メンズやキッズのアイテムまで展開することで、 顧客のLTVを高めるチャレンジをしていることだ。ピンクをベースカラーとして展開していた店舗インテリアは、一部店舗で木目調の雰囲気に変える取り組みを実施しているという。 また、郊外店を大型化させて多様なカテゴリのアイテムを展開し、カスタマーシェアを実現。単品買いだった顧客が他ジャンルの商品も購入したり、家族の代理で購買したりすることで、客単価アップを目指している。さらにさまざまな販売チャネルをシームレスにつなぎ、LTVを最大化させることも意識しているという。
まずは顧客戦略を推進するため、思い込みを排除し、顧客の定量・定性データをしっかりと活用することを重視。アンケートや座談会、インタビュー調査を頻繁に行い、顧客がどんな人で、何を考えているかを定性データとして獲得。また、高速でPDCAをまわして施策スピードを上げているという。
さらに、顧客の解像度を上げるため、3つの会員ランク(シルバー、ゴールド、ダイヤモンド)と3つの会員種別(アプリ会員、通販会員、統合会員)を掛け合わせて、顧客を9つに分類。人数構成やLTVが高いのはどの掛け合わせなのかを明らかにしたことで、どこがボトルネックでどこに伸びしろがあるかを把握できたという。

イベント リージョナルサミット2024夏

企業側の思い込みがLTV向上を阻害する事例も紹介した。

また、企業側の思い込みがLTV向上を阻害する事例も紹介。クロスユースを促進する為にさまざまな施策を展開していたが、一向に成果が出ない。調査してみると、顧客になったばかりの人に複数チャネルでの購入を促進しても、ブランド理解が低いためにそのメリットが感じられないからだと判明。そこで単一チャネルでリピートするよう施策を転換したところ、LTV向上につながったという。
一方、LTV伸長率が3年間で135%だというアプリ運営について、ポイントを3つ列挙。1つ目は最小のコストで最大の利益を生むようキャンペーン以外の平常時に力を入れたこと、2つ目はスピードを重視すること、3つ目が顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーションをとることだ。購入アイテムに沿った情報を投げかけることを意識しているという。
最後に、「LTVを指標として可視化することで大切だ」と西岡氏。初回購入アイテムや初回購入メディア、各種サービスとの相関関係を明らかにすることが、限られたリソースを有効に使う手段だと締めくくった。

アプリを顧客との架け橋に。CRMにも

続いては800以上のアプリを開発・支援しているヤプリの金子氏が登壇。ファーストパーティーデータの活用が重要であることを説明し、それには自社アプリが活用できることを紹介した。ユーザーの手元にあるスマホに、企業との入り口ができること、スマホに最適化されているために分かりやすいこと、プッシュ通知が利用できることをその理由に掲げた。

写真 人物 個人 ヤプリ 執行役員CCOの金子氏

ヤプリ 執行役員CCOの金子氏。ファーストパーティーデータへの意識が高まるなかでの、自社アプリ活用の有効性を説明した。

その後、全国各地の企業がどのようにアプリを活用しているのか、具体事例を交えて解説。まず「南海電鉄」のアプリでは、商業施設とお客様とのコミュニケーションを深化させる目的で開発。複数施設のキャンペーンやクーポン配信などを一括することで、アクティブユーザー数が3割増加。取得したデータを元に、次なる打ち手を考案できるという。
「ピエトロ」の公式アプリは、可愛らしい世界観によりユーザーが愛着を持てるアプリに仕上がっている。実店舗でもオンラインでも使える共通ポイントシステムがアプリ内に組み込まれ、アプリ限定キャンペーンなどを展開。アプリ経由でのショッピングや、アプリ内に掲載されているレシピの閲覧ユーザーも増加。プッシュ通知によるお客様アンケートは、2,000件以上の回収となった。

イベント リージョナルサミット2024夏

ピエトロやシャボン玉石けんなど、全国各地の企業がどのようにアプリを活用しているのか、具体事例を交えて解説。

福岡を代表するメーカー「シャボン玉石けん」は、アプリ活用により新しいファン獲得を目指している。紙の会報誌と連動し、AR機能で楽しめるコンテンツを盛り込んだり、製品使用ノウハウを紹介する動画を見れるようにしたりと、アプリ限定のコンテンツも用意。客単価アップに加え、客層の広がりも見せている。
ラーメンレストラン 「どうとんぼり神座(かむくら)」は、コアファン獲得のためにアプリを活用。これまでの「替え玉無料券」のような、無差別に配布するクーポンではどれほどの効果があるのか可視化できていなかったが、お客様の会員ランクごとに適切なコミュニケーションを発信し、クーポンの利用を促進させると同時にコアファンを増やしている。
クリーニングの白洋舎は、新しい集配サービスの認知度アップにアプリを活用。同時にお客様情報を管理し、お店をより好きになってもらうコミュニケーションをとっている。
「プロント」では、ロイヤルカスタマーの位置づけをアプリ内で行い、購買履歴をもとに施策を練る。

イベント リージョナルサミット2024夏

プロント、白洋舎、お仏壇のはせがわなど、様々な企業でYappliが活用されている。

「お仏壇のはせがわ」は、若い世代に向けた葬儀に関する情報などをアプリに盛り込み、V字回復を実現。故人の情報を入力することで、時期ごとに適切な情報が配信されるという。
アプリが販促ツールでありながら、CRMとしても機能させることができるという点を強調した。

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お問い合せ

株式会社ヤプリ マーケティング本部

住所:〒106-6241 東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー 41階
Mail:mktg@yappli.co.jp
URL:https://yapp.li/

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